
ph(ペーハー)は観賞魚飼育にとっても重要!魚種別の最適phと測定方法をプロが伝授!
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アクアリウムをやっていると、いずれ必ず目にする「ph」について簡単にお話します。専門用語だと難しく考えず、気軽な気持ちで読んでいってみましょう。
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一般的にpHショックと言われているものは、魚やエビを水槽に入れたり水換えをした後などに、短期間(短時間)で様子がおかしくなったり、死んでしまう状態をいいます。例えば体表粘膜が白くなって剥がれてきたり、暴れて死んだりなどです。
魚を入れた直後〜数日後に死んだりと、短時間で起こるのが特徴ですが、これはpHだけの問題とは限らないと思うので、私は「水質ショック」と言い表したりします。
昨日まで元気に飼えていた魚が今日になって細菌性の病気のような、pHショックのような症状を見せ、目が白濁したり、ヒレを閉じて弱ったり(ヒレが溶けたり)死んだりすることもあります。
これも一種のpHショックで、私は「低pH障害」と言い表していますが、水換えのタイミングが遅いことによって低pHになることが原因です。
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東南アジアで養殖される外産グッピーは、現地の養殖場の水質などから、中性~弱アルカリ性が良いとされています。数字にとらわれない方が良いと思いますが、pH値としてはpH7.0~7.8位を目安にしましょう。
国産グッピーの場合は日本の弱酸性の水質で管理されているため、pH6.5位~中性あたりが適しています。グッピーは低pHに弱いため、水換えのタイミングが遅れて低pH障害にならないよう注意しましょう。
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小赤やヒメダカなどは主に野外で養殖されていますが、雨が降ると酸性雨の影響で調子を崩しがちになります。そのため、金魚やメダカはpH値が低くない方が適しているとされています。水質は弱アルカリ性~中性付近を保つように心掛けましょう。
pH値としては6.5位~7.5位が適しています。先程のグッピーについても言えますが、狙った水質を作るためにはアイテムを使います(後ほどご紹介します)。
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カクレクマノミや無脊椎動物(サンゴ・イソギンチャク)など海の生物がいる水槽は、pHが下がらないよう注意しましょう。もちろん、pHが高くなり過ぎても駄目ですが、一般的にはpHが下がることに困るものなので、時間の経過とともに水槽環境が劣化していくことに気をつけなければいけません。
適したpH値は8.3前後ですが、底砂の交換や、ミネラル添加剤の使用などで理想的な水質を維持するようにします(後ほどご紹介します)。
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カージナルテトラやグリーンネオンテトラなど、南米原産のカラシンは弱酸性の水質が適しています。特にアマゾン川の支流のネグロ川で採集されるものは現地の水質が特殊なことから、この特徴が顕著です。
適したpH値としては5.0前後です。養殖物(ブリード個体)はこの限りではなく、もっと高いpH値でも楽に飼育できます。カラシンに限らず、どの魚種もある程度のpH値に適応するので、pH値の数字には縛られないでください。
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フライエリィ(アーリー)やフロントーサなど、アフリカの湖産シクリッドは弱アルカリの水質が適しています。具体的なpH値は7.8位~8.5位です。これはWILD物(自然採集個体)であれば、特に適した水質が大事になってきます。
半面、養殖物(ブリード物)であれば、必ずしも弱アルカリ性でなければならないというわけではありません。中性付近を維持できれば、アフリカンシクリッドと弱酸性域に生息するような他の魚を一緒に混泳飼育することができます。
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サンゴ砂やカキガラを使用する方法は、安価なのが一番のメリットです。ただし、pHが下がりにくくなったからといって水換えをしないでいると、サンゴ砂やカキガラが働いた分、水質の硬度も上がるので、時間の経過とともに自分の意図しない水質になってしまう悪いところがあります。
一方、カキガラはサンゴ砂と違って硬度に影響しないという話もありますが、私はやはり影響すると思っています。
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商品によってpHの下がりやすさが違いますが、ソイルと使うとpHを下げることができます。基本的に多くのソイル商品には、陽イオン交換作用があるのですが、この作用によって水槽内の水素イオン濃度指数が高まり、pHが低くなるということを意味します。
ただし、なかにはソイルにpHを上げる作用のある物質を混ぜ込んでいる商品もあり、そのようなソイル商品の場合は、pHが下がりにくくなっているようです。
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二酸化炭素の添加でも、水のpHを下げることができます。二酸化炭素はとても水に溶けやすいのですが、水に溶けた二酸化炭素は「炭酸」という形で存在します。炭酸は弱酸性なので、水のpHが下がるというわけです。
しかし、無限にpHが下がるわけではなく、水が酸性に傾いていくと、ある段階から炭酸ガスで存在する比率が高くなっていきます。
この状態は酸ではなくガスであるため、100%炭酸ガスの状態になった時にはpHが下がらないのです。
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pHについては最初の方でお話したので、ここではKHについてお話しましょう。KHは簡単に言うと、pH変動に関する緩衝作用をもつものです。
KHの値が高ければpHの値は変動しにくく、安定した水と言えます。反対にKHの値が低いと、それは不安定な水であるため、pHも容易に低下しやすくなります。
そのため、単純に「pH値低い=KH値低い、pH値高い=KH値高い」と考えて構いません。例えば「KH値の低い水にpH降下剤を1滴垂らしたら、pHが4下がったとします。
次にKH値の高い水に先程と同じくpH降下剤を1滴垂らしてみると、今度はpHが1しか下がらなかった」というような現象が起きるのです。
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pH7.0以下の弱酸性水質のメリットとして、発生したアンモニアが無害なアンモニウムイオンに変化してくれるということがあります。
ただし、アンモニウムイオンに変化できる量には限りがあって、あぶれたものはアンモニアのままなので、日々の水換えでアンモニウムイオンも捨てることが大事になります。弱酸性部屋の空席には限りがあるということですね。
適度な水換えで、元気に観賞魚を飼育してあげましょう。
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水質というとなんだか専門用語が多く、難しいと感じてしまう人も多いと思いますが、全てを完璧に覚えておく必要はありません。
今回ご紹介した内容のポイントさえ押さえ、適度な水換えを守っていれば、観賞魚飼育は思っているほどシンプルなものです。
まずは水質の基本とも言えるphについてしっかりと理解し、楽しいアクアライフを送りましょう。
ph(ペーハー)について

phとは
phは「ペーハー(ドイツ語読み)」「ピーエイチ、ピーエッチ(英語読み)」と言いますが、簡単に言うと酸性度やアルカリ度を表す単位です。ちなみに日本語の意味では「水素イオン指数」といい、水素イオン指数の濃度を計って数値化しているものになります。 pHには、おおまかに「酸性」「中性」「アルカリ性」がありますが、さらに細かく分けると「弱酸性」と「弱アルカリ性」もあり、アクアリウムは基本的に「弱酸性」「中性」「弱アルカリ性」におさまる範囲での水質で楽しめます。phの最大と最小
pH値は0~14まであり、数値が小さい方が酸性、数値が大きい方がアルカリ性となります。基準となる中性はpH7.0です。アクアリウムでは、pH7.0以下が弱酸性域、pH7.0以上が弱アルカリ性域になります。だいたいのお話ですが、アクアリウムではpH5.0±~8.5±の水質で管理されているものです。 しかし、生体の種類によっては、極端なpH値だと弱ったり死んでしまうことがあるので、向き不向きの水質があるとされています。アクアリウムにおけるphの重要性(phショックの危険性)

観賞魚別の最適ph
生体の種類によって、だいたいの適したpH値があるとされています。「きっちりこの値」と決まっているわけではないので、おおまかな目安として捉えてください。東南アジア産熱帯魚

金魚・メダカ

海水魚

南米産カラシン

アフリカンシクリッド

phの測り方
pH測定で1番のおすすめは、デジタル式の測定器です。pHメーターやpHモニターがあり、どちらもあれば1番良いのですが、どちらかを選べと言われたら24時間pHモニターをおすすめします。24時間pHモニターは、使い方次第でpHメーターと同様に使用することもできるからです。 他には液体の試薬と、紙の試験紙で測定する方法もあります。おすすめのph測定キット
おすすめは、AIネットのpHモニターP-2です。リーズナブルな価格でありながら、24時間の測定が可能な便利品です。phを上げる方法
pHを上げる方法はいくつかあります。その方法に付随した水質の変化がpH以外にもあったりするので、その点も踏まえて方法を選んでください。サンゴ砂やカキガラを底床・ろ材に使用する

ph上昇材を使用する
pH上昇剤として販売されている商品は効果が出やすいため、適切なところで使用を中止することが必要です。使用の際はデジタルpH測定器を使って、ちゃんと数値を確認しながら行う必要があります。 合わせて、pHと共にKH(炭酸塩硬度)も上昇させるため、それも頭に入れて使用しましょう。KHを測定するには、液体の試薬などを使って確認するようにします。 おすすめのph上昇材は、ウォーターエンジニアリングのリバースシリーズです。phを下げる方法
水は自然と酸化してpHが下がる方向にいくのですが、水槽内にpHを上げる何かがあると、上手くpHが下がらない場合もあります。ここではpHを下げる方法を見ていきましょう。ソイルを底床に使用する

二酸化炭素を添加する

ph下降材を使用する
これは、先程のpH上昇剤と同じように効果が出やすいため、デジタル式のpH測定器でpH値を確認しながら行わなければいけません。 一度、目的のPhに下げても、いったんpH値が回復するので、何回か添加を繰り返して目的のpH値にします。ph下降材は、上昇材と同様にKHにも影響します。 ph下降材はKHを下げるため、先程の説明のように繰り返し使用する時は使用量に注意しないと、思いのほかpH値が下がり過ぎることになるので気をつけましょう。ピートモスを使う
自然素材なため安全にpHを下げることができます。ただし、水に茶色く着色するので、ここが嫌だという人もいるかもしれません。 反対に、自然のブラックウォーターが好きだという人にはおすすめです。だいたいどの方法でpHを下げる場合も、軟水化させてからpHを下げるようにすると、より少しの力でもpHが下がるようになります。 軟水化させるには一応ソイルやゼオライトでも可能ではあるのですが、イオン交換樹脂を使用するのが一般的です。リバースシリーズを使う
フィルターに入れるだけで手軽に軟水化できるものとしておすすめなのがリバースグレイン・ソフト6.8です。原水のpHや硬度が高い地域のための濾材として販売されています。 リバースグレイン・ソフト6.8は、pHが下がりにくい水道水のpHを6.8前後、GH・KHを1前後に固定します。 即効性に優れていますが、持続性は劣るため、引き続き弱酸性の軟水を維持したい場合は、pH値やKH値を測定・把握しながら、他の方法も併用するのが良いかもしれません。phとKH(炭酸塩硬度)の関係性

弱酸性水質のメリット

phをしっかりと理解して、観賞魚を健康に飼育しよう
