メダカの卵の適切な管理方法を伝授!産卵〜孵化後の稚魚の育て方とは

メダカの卵の適切な管理方法を伝授!産卵〜孵化後の稚魚の育て方とは

アイキャッチ画像出典:写真AC

メダカの産卵について

メダカを産卵させるにはいくつかの条件を満たす必要があります。とは言え、その条件はそう難しいものではないので、初心者でも容易に産卵させることが可能です。

メダカが産卵する条件

メダカが産卵するためには主に、元気なオスとメスの親メダカ水温日照時間の3つの条件を満たす必要があります。自然環境下では水温と日照時間を頼りに繁殖活動を行っているので、飼育下で産卵させるためにはそれらの環境を再現しなければなりません。 親メダカの状態 メダカが卵を産む条件 出典:写真AC 産卵させるためには元気な性成熟したオスとメスが必要です。体長2.5cm程度に成長していれば性成熟している可能性が高く、思っているよりも小さなうちから産卵が可能である場合が多いです。 反対に痩せ細っていたり、病気にかかっている状態では産卵は行うことができません。しっかりと栄養価の高い餌で太らせて、元気な親メダカを用意しましょう。 水温 メダカが卵を産む水温 出典:写真AC メダカが産卵する水温は約18℃以上からです。自然環境下では水温が高い春から秋にかけてが産卵期ですが、飼育下ではヒーターを使って水温を20℃以上に保つことで冬でも産卵させられます。 産卵に理想的な水温は25℃前後と言われていますので、温調機器を使って水温を調節してください。 日照時間 メダカが卵を産む日照時間 出典:写真AC メダカの産卵には日照時間も密接な関係にあります。メダカが産卵する条件には12~13時間の日照時間が必要なので、屋内水槽で飼育している場合は照明時間をコントロールして、メダカにとって明るい時間と暗い時間を設けてください。

メダカの産卵時期と卵数

メダカの産卵時期 撮影:FISH PARADISE!編集部 関東での屋外におけるメダカの産卵時期は、水温が高くなり、日照時間が長くなる5~9月頃です(他の地域では季節のよって多少前後します)。 メダカは1回の産卵で、メスが5個から多い時は20個以上の卵を産みます。産卵条件を満たしている状態では毎日のように産卵するので、ワンシーズンで数百から数千もの卵を産む計算になります。 メダカは産卵開始から数カ月ほど経つと産卵しなくなることがあります。産卵疲れとも言われたりしますが、コンディションがよければ、しばらくするとまた産卵するようになるので心配はいりません。

メダカの卵の孵化について

メダカの卵の孵化までの時間は水温に強く依存します。

メダカの卵が孵化するまでの日数

メダカの卵の孵化日数 出典:写真AC メダカの卵が孵化するまでの日数は、以下の計算式で求めることができます。 水温(℃)×孵化までの日数(日)≧ 250 上記の計算式をもとに計算すると、水温20℃では14日前後、水温25℃では10日前後となります。 ただし、10℃以下や40度など、水温が極端に低すぎたり高すぎると、卵が死んでしまい孵化することはなくなるため注意が必要です。

メダカが孵化するまでの流れ

メダカの産卵の流れ 出典:写真AC 交尾 メダカは早朝まだ薄暗い時間帯に交尾します(明るい時間に交尾する場合もあります)。メスがオスを受け入れると、オスがメスに寄り添うようにして交尾を開始します。 産卵 メスがお腹の下に卵をつけて泳ぐようになります。朝の餌やりの頃には、メスのお腹に卵がついていることがほとんどです。 卵の産みつけ 大抵の場合、午前中にメスは水草などに卵を産みつけます。まれに卵を産みつけず、ずっとお腹に卵をつけたまま泳いでいるメダカもいますが、時間が経つとお腹から卵は落下します。 孵化 水温によりますが、10~14日程度で卵からメダカの針子(生まれたばかりの稚魚)が孵化してきます。

メダカの卵の取り方(採卵方法)

メダカの卵の取り方 出典:写真AC メダカは自然界では水草に卵を産みつけていますが、効率よく採卵するために様々な方法がおこなわれます。 水草で採卵を行う場合は、ホテイアオイが最もよく用いられます。ただし、ホテイアオイは気温が高く、強い日光がないと十分に成長しないため基本的には屋外での採卵でしか使用できません。屋内で水草を用いる場合は、マツモやアマゾンフロッグピットなどが良いでしょう。 水草以外の採卵方法としては、人工の産卵床を用いる方法があります。各メーカーから様々な工夫を凝らした産卵床が販売されているほか、オリジナルの産卵床を自作することも可能です。 産卵床から回収する以外にも、産卵直後でまだメスの体に卵が付着している時に直接採卵する方法もあります。メスから直接採卵する場合は、当該個体を網などで掬い綿棒などの柔らかいもので腹部を優しく撫でるようにして採卵します。

メダカの卵はカルキが入った水道水に入れていいの?

メダカの卵はカルキ入りの水でも大丈夫? 出典:写真AC 卵の状態ならカルキ(塩素)に対する耐性があるので、カルキ抜きをしていない水道水でも大丈夫です。産卵直後に採卵した卵であれば、そのままの水道水に入れても孵化する頃にはカルキが抜けているので問題ありません。 また、あえてカルキ抜きをしないことで、カビや雑菌の増殖を抑える効果も期待できます。ただし、いつ産卵したか定かでない卵や、孵化前の卵が入った容器にカルキ抜きをしていない水道水を入れると、誕生した針子に悪影響を与える可能性も考えられるので注意してください。

メダカの卵が孵化しない!その原因は?

メダカが卵を産む数 出典:写真AC メダカが卵を無事に産んだけれど、卵が孵化しない場合は様々な理由があります。最も多いのは、卵が無精卵である可能性です。無精卵の場合は、何らかの原因で受精がうまくいっていないため、どんなに水温をあげたりしても孵化することはありません。 また、有精卵であっても、水温が高すぎる・低すぎる、水質が急激に悪化したなどの理由により、発生が止まってしまう場合もあります。基本的には上記でご紹介した計算式から大きく孵化日数が外れることはありませんので、時間が経っても孵化しない場合は卵が死んでしまっている可能性が高いでしょう。

メダカの卵が白い?無精卵かもしれません

メダカの白い卵は無精卵 出典:写真AC メダカの卵が白っぽい場合は、無精卵の可能性があります。有精卵の場合は、産卵直後の卵は透明に見えますが、無精卵の場合は白く濁ったように見えます。ただし、アルビノ種のメダカの卵は有精卵でも白っぽく見える場合もあるので、注意が必要です。 また、有精卵の場合、指でコロコロと卵を転がしても卵は潰れてしまうことはなく、卵には硬く弾力性があります。しかし、無精卵の場合は、指で押すとすぐに潰れてしまいます。

メダカの卵にカビが生えてしまう原因と対策

メダカの卵の適切な管理とは 出典:写真AC メダカの卵にカビが生えてしまう原因としては、無精卵をほったらかしにしていることがあげられます。 有精卵だけの場合は、カビが生えてしまうことはほとんどありません。しかし、無精卵と有精卵をそのまま一緒に入れておくと無精卵にカビが発生し、そのカビが有精卵にも移ってカビが生えてしまうことがあります。 カビが生えないようにするためには、メチレンブルーなどの魚病薬を薄めて卵の入った容器に入れることで、カビ対策になります。

メダカが卵を産まない!その原因は?

メダカの卵の疑問点 出典:写真AC 卵を産まない場合、その環境が産卵に適していない可能性が考えられます。水温・日照時間は適切か、オスとメスが揃っているか、親メダカは十分な栄養を取れて元気な状態かをチェックする必要があります。 また、水質が極端に悪化していないかも調べてみてください。前述したようにメダカは産卵し続けていると、環境が良くてもパタリと産卵しなくなるタイミングがあります。その場合は、しばらくするとまた産卵し始めるので一度体力を回復できるように栄養価の高い餌を与えて休ませてみてください。

メダカは卵を食べるって本当?

メダカは卵を食べる 出典:写真AC メダカは他のメダカが産んだ卵・自分の産んだ卵問わず、食べてしまうことが多々あります。特に、水槽という限られたスペースでは、しっかりと対策しておかないとせっかく産んだ卵がすぐに食べられてしまいます。 卵が食べられないようにするには、卵を産みつけた水草や産卵床を別容器で管理するのが最も確実で早いです。親のメダカ水槽で卵が仮に食べられずに孵化したとしても、生まれた針子も親のメダカは食べてしまいます。

メダカの卵詰まり(過抱卵)について

メダカの卵は小さい 出典:写真AC メスのメダカのお腹が異常に大きく膨れてしまう症状が出た場合、卵詰まりを疑いましょう。卵詰まりの原因として考えられるのは、オスメスの相性が悪いことです。 メスが産卵準備ができていても、オスに生殖能力が無かったり、単純に相性が悪いなどで後備に至らないと、メスはお腹の中に準備した卵をいつまで経ってもお腹の外に出すことができません。 メスが卵を埋めない期間が長いと、卵がお腹に詰まってしまいやがて死んでしまいます。卵詰まりを解消するには、相性のいいオスを準備してあげましょう

メダカの孵化後の稚魚の育て方

メダカが無事に孵化したら、次は稚魚の育成が待っています。メダカの針子はかなり体が小さいので、特に飼育方法や餌に注意が必要です。

針子の育成には青水がおすすめ

メダカの稚魚は青水で飼育すると良い 撮影:FISH PARADIASE!編集部 青水はグリーンウォーターとも呼ばれ、植物プランクトンが豊富な水です。メダカは雑食性なので植物プランクトンも食ることから、グリーンウォーターは針子にとっていつでも餌が取れる良い水といえます。 針子は体が小さく、親メダカと同様の粒餌などはうまく食べられません。よって、サイズの小さい植物プランクトンが豊富に含まれる青水で育成することで、餓死のリスクを減らすことができます。

孵化後2日ほどは餌は必要ない

メダカの稚魚の画像 出典:写真AC 針子は孵化直後は卵黄嚢が付いた状態で誕生し、数日間は卵黄嚢の栄養で成長できます。そして、誕生直後はまだ口がしっかりと開いていないので、餌をあげても物理的に食べることができません。 卵黄嚢の栄養を吸収し終え、自力で泳げるほどに成長した頃には、口も開いて餌を摂れるようになっています。そのため、餌をあげるタイミングは泳ぎ出してからです。

3日目以降はインフゾリアや稚魚専用餌を与える

稚魚にはゾウリムシがおすすめ 出典:写真AC 針子は体が小さく、口もとても小さいので針子用の餌が必要です。そのため、親と同じ人工飼料などの餌はうまく食べられません。孵化直後の餌としては、ゾウリムシがおすすめです。 また、メダカの稚魚でも食べられるほどのサイズに粉砕した、専用餌も市販されているのでそれを与えても良いでしょう。いずれも、食べ残しは水質を悪化させるので、餌の与えすぎには注意してください。

どれくらいのサイズに成長したら親メダカと同居できる?

親メダカと稚魚はどれくらいから同居できる? 出典:写真AC 親メダカと同居できる条件としては、親メダカの口に入らないサイズであることと、親メダカと同じものが食べられることの2点です。メダカは共食いする性質があるので、親メダカの口に入る程度の大きさの頃に同居させようとすると捕食されてしまいます。 また、親メダカと同じものが食べられないと、餌を摂れずに餓死する危険があります。以上のことから、2cm前後にまで成長するまでは、隔離して成育した方が無難です。

メダカの卵をしっかり管理して、上手に繁殖させよう!

メダカの卵をしっかりと管理しよう 出典:写真AC メダカの繁殖は決して難しいものではありません。しかし、繁殖の最初の段階である卵の管理がうまくいかないと、せっかく産卵しても大人のメダカに育て上げることはできません。 今回ご紹介した卵の管理をしっかりと頭に入れておけば、きっとこれまで以上にメダカの繁殖がうまくいくと思います。ぜひ、適切な卵管理の知識と技術を身につけて、効率よく繁殖を楽しみましょう。
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