
編集部の魚食探検記Part1:清流の毒魚ギギと新種のタニガワナマズ
Share
「ギギ」という魚をご存知でしょうか。ナマズ目ギギ科ギバチ属の淡水魚でギーギーと鳴くことからその名が付いたとされています。体長30cmほどになり、8本のヒゲが特徴的な可愛らしい魚です。水質悪化に弱いらしく、綺麗な河川の中流域に生息しています。近縁種のギバチという魚は東京都の環境指標種にも指定されています。
今回はそんなギギがたくさん釣れるというポイントがあると聞き、釣って食べてみようと思い立ったわけです。さらにそのポイントでは2018年に新種記載されたばかりのタニガワナマズも生息しているとのこと。是非ともその姿を見てみたい!そして食べてみたい!ということでギギ&タニガワナマズ狙いで夜の川へ繰り出してきました。
本命のギギGET!名前の由来どおりギーギーと鳴いています。ギギは鰭の棘に毒があるので注意しながら針を外しキープします。
顔の感じは同じナマズ目の海水魚であるゴンズイを彷彿とさせます。
その後も釣りを続けていると同行者の竿に何やら大きな反応が!これはまさかと思いながら魚を寄せると・・・
ナマズが釣れているではありませんか!しかしまだこの時点ではタニガワナマズなのかマナマズなのかは分かりません。タニガワナマズとマナマズの外見は非常に酷似しており、見分けるのに難儀します。その場で確認しますが微妙な感じで判断がつかない為、持ち帰って詳しく見てみることにします。(興奮しすぎて写真を撮るのを忘れていました・・・)
ギギと類似種を見分けるポイントは尾鰭の形。尾ヒレに深い切れ込みがあればギギと大雑把に見分けることができます。
胸鰭と背鰭には鋭い毒棘があり、刺されるとかなり痛いそうです。
胸鰭の棘。この棘を付け根の骨と擦り合わせることで音を出します。
染色して見てみるとわずかではありますが、左右の鋤骨歯は離れています。どうやらこの個体はタニガワナマズで間違いなさそうです!まさか本当に釣れるとは・・・
外見上はマナマズと区別がつきません。一応タニガワナマズの場合は腹部まで斑紋が広がるという傾向があるようですが、模様は個体差が大きいので決定打にはなりませんね。
ナマズ特有のマヌケ顔愛嬌のある顔立ちです。
ギギは腹開きにしますが意外と骨が硬く難儀します。特に背鰭を支える骨が非常に硬くてさばき難いので、開く前に鰭は取り除いた方が良いかもしれません。というか毒棘が付いているので背鰭と胸鰭はさばく前に落としてしまいましょう。
身質は綺麗な白身でとても美味しそうです。生臭さも全く感じません。
ナマズは3枚に下ろしていきます。メスだったようで卵を持っていました。せっかくなのでこれも食べてみましょう。
全体に薄く小麦をまぶし半分は揚げ焼きに、もう半分は蒲焼きにしました。卵は蒲焼きの余ったタレで煮詰めました。ナマズに限らず淡水魚の卵には重篤な症状をもたらす寄生虫が付いていることが多いです。食べる際は生食を避け必ず火を通すようにしましょう。
揚げ焼き(上がギギ、下がタニガワナマズ)。調理途中で我慢できずつまみ食いしてしまったので形がいびつになっています汗
蒲焼き(上がギギ、下がタニガワナマズ)。良い感じに照りが出てとても美味しそうです。
ギギとタニガワナマズを求め夜の川へ
今回訪れたのは三重県某所の河川。蛍も生息している非常に綺麗な水質のポイントです。早速ぶっ込み仕掛けにミミズをセットし投入。細かいアタリはコンスタントにありますがエサ取りなのか針がかりしません。モヤモヤしつつ待つこと1時間ほどで明確なアタリが!

さばく前にじっくり観察
ということで持ち帰ってきたギギとタニガワナマズ(?)。捌く前に形態を観察していきましょう。ギギ



タニガワナマズ
タニガワナマズとマナマズを見分けるには左右の見分けるには左右の鋤骨歯(口腔上面にある歯)の状態をみなければ分かりません。左右の鋤骨歯がくっついていればマナマズ、離れていればタニガワナマズです。


綺麗な白身でとても美味しそう
では実際にさばいていきます。まずは塩でよく揉みヌメリと臭みの元をとっていきます。



