
チェリーバルブの飼い方や繁殖法は?真っ赤に色揚げするにはどうする?
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アイキャッチ画像撮影:FISH PARADISE!編集部
チェリーバルブについて

撮影:FISH PARADISE!編集部
今回は、古くから親しまれているポピュラー種、チェリーバルブについて見ていきましょう。
チェリーバルブの特徴
チェリーバルブは東南アジアのスリランカ原産の熱帯魚です。体長は4㎝前後になり、産卵はバラまき型です。メスは黄色っぽい体色をしていますが、発情したオスは体が真っ赤に色付きます。気性に関しては「温和~やや荒い」ですが、環境(水槽サイズやレイアウト・メンバー構成など)や個体差によります。
気性はどの魚にも言えるのですが、先ほど説明したことの他に、個体の成熟度も関係してきます。特に、発情すると気が荒くなるものなので覚えておきましょう。水草を全く傷めないので、そういう点でも総合的には飼い易い熱帯魚と言えます。
チェリーバルブの性格
チェリーバルブの性格については先程も少し触れましたが、仲間同士で少し小競り合いをする程度はします。ただ、場合によっては同種以外の魚をも追い回すケースもあるので、それなりの気の荒さを持っているとも言えます。しかし、相手を死に至らしめる凶暴なシクリッドと比べれば可愛いものなので、許容範囲の気の荒さだと思ってください。
チェリーバルブの寿命
チェリーバルブの寿命は、おおむね4年前後が平均です。寿命が短めのケースと長めのケースでは倍近く寿命に差がありますが、主に飼育水温が寿命を左右します。水温が低めだと代謝が抑えられるので寿命が長くなり、水温が高めだと代謝が促進されるので成長は早くなりますが、そのぶん老化も早くなって寿命が短くなります。
チェリーバルブはスネールなどの駆除にぴったり!
スネール駆除、又はプラナリア駆除などと言えば、真っ先に名前が挙がる魚は他にいるのですが、実はチェリーバルブは、スネールもプラナリアも食べてくれる熱帯魚なんです。この2種を食べてくれるなんて、万能のお助けマンですね。ただしスネールについては、チェリーバルブの口に入るサイズでなければ食べることがあまり期待できなくなります。
フグ類であれば口に入らないサイズの貝でも食べるのですが、ここが少し違う点です。
チェリーバルブの品種(種類)
次は、チェリーバルブの改良品種についても見ていきましょう。
チェリーバルブ
スリランカ原産の小型種。メスは黄色っぽい控えめの体色ですが、オスは赤味の目立つ体色をしていて、その赤色は発情すると強く発色します。鯉科の魚らしい体形も特徴です。
ロングフィンチェリーバルブ
ロングフィンチェリーバルブは、チェリーバルブの尾ビレを伸ばした改良品種です。尾ビレだけが伸長しているのが特徴で、各ヒレが伸長しているわけではありません。
アルビノチェリーバルブ
アルビノチェリーバルブは、以前は黄色みのある品種でしたが、現在は赤味が強くなって黄色の発色がほぼ見られないよう改良された、ピュアレッドタイプが流通しています。
チェリーバルブの飼育方法
次は、チェリーバルブの飼育方法について見ていきましょう。
水槽・フィルター
チェリーバルブの飼育は30㎝の小型水槽から可能ですが、本種の魅力を十分に引き出すには、なるべく大きな水槽がおすすめです。30㎝水槽よりは45㎝水槽、45㎝水槽よりは60㎝水槽がおすすめです。フィルターは外掛け式フィルターがおすすめですが、60㎝水槽であれば上部式フィルターや外部式フィルターの使用もおすすめです。
フィルター選びは飼育魚の大きさや匹数、主に魚だけの水槽なのか、又は水草にも凝った水槽なのかなど、目的によっても選択が違ってきます。もし迷った場合は、外部式フィルターを選ぶのがおすすめです。
水温・水質
チェリーバルブは幅広い水温に順応します。それは、丈夫な熱帯魚であることも意味します。早く成長させたかったり、活発に泳ぐ姿を見たい場合は28℃程度で飼育してもいいですし、いくらでも寿命を長くしたいのであれば23℃程度で飼育してもいいです。20℃や、それを下回る水温でも飼育可能ですが、おすすめはしません。
丈夫な熱帯魚なので水質(ph)は気にしなくていいくらいなのですが、発色のことを踏まえて考えると、phを弱酸性域に保つのがおすすめです。理想は、綺麗な水質を保ちながらも、弱酸性の水質を保つことです。
底砂・レイアウト
チェリーバルブ飼育のレイアウトとしては、水草にイタズラをすることが無いのもあって、水草レイアウト水槽がおすすめです。水草をレイアウトすることで、チェリーバルブの赤と水草の緑が映えますし、魚同士の小競り合いがあった時の隠れ家や、逃げ込める場所の確保にもなります。
また、繁殖を考えた場合も、水草水槽であれば自然に近くなるので、繁殖行動を促すことにもつながります。底砂は、水草育成や弱酸性の水質を得ることを考えると、ソイルがおすすめです。ソイル以外の砂利や砂でも環境を作ることは可能なので、お好みで選んでも構いません。
チェリーバルブの餌
餌について、理想は数種類の餌を与えることです。ドライフードだけではなく、冷凍赤虫や冷凍ミジンコ、冷凍ブラインシュリンプに冷凍ディスカスハンバーグなど、あらゆる餌が対象になります。ドライフード1つをとっても、グッピーやシクリッドや大型魚用の高タンパクな餌もあれば、コリドラスやプレコ用などの植物質性の強い餌もありますから、これらを使って栄養が偏らない食事を取らせるのが理想です。
贅沢できるなら、海水魚のドライフードもおすすめです。そして全ての小型魚にとって鉄板の餌が、生きたブラインシュリンプベビーです。
チェリーバルブの色揚げ方法

撮影:FISH PARADISE!編集部
色揚げには、環境によって得られる効果と、摂取することによって得られる効果があります。環境による効果とはチェリーバルブの場合、弱酸性の水質で飼い込むことです。例えばピートモスを使うことで弱酸性を得て魚の赤色は増しますが、飼育水に色が付くので鑑賞はし難く感じるかもしれません。
また、ブラックウォーターの元を使ってもピートモス同様の色揚げ効果を得られます。水温は適温から外れていると体色が薄くなり易いので、水温にも注意しましょう。あとは、色揚げ効果のある餌を食べさせることです。ちなみに、適度な太陽光も色揚げ効果があります。
チェリーバルブの混泳相性
次は、チェリーバルブの混泳について見ていきましょう。
同種・近縁種との混泳
チェリーバルブの場合、同種とはよく小競り合いを起こします。小競り合いの具合も、ごく軽いものから本気で喧嘩をするものまで程度は様々です。本気で喧嘩をするとしても、相手を死なせてしまうほどの喧嘩は心配しなくて大丈夫なのですが、環境によっては死なせてしまう可能性もゼロではないので、負けている方がボロボロになっていくようであれば、隔離や環境を変えるなど早めの対処をしてあげましょう。
近縁種との混泳の場合は、スマトラやゴールデンバルブのような、チェリーバルブより気が荒い魚種は可能ではあっても不向きです。ラスボラ・エスペイなどは丈夫で温和なので混泳に向いていますし、プンティウス・ペンタゾナも温和でおすすめです。
多種との混泳
エビとの混泳は、あまりおすすめしません。エビを混泳させるなら、なるべく大きなエビとしてヤマトヌマエビをおすすめします。他魚種との混泳であれば、チェリーバルブより大人しい魚種であれば何でも大丈夫です。ネオンテトラやアカヒレ、コリドラスやプレコなど、何でもOKです。少し大きくなる魚種でも、チェリーバルブを食べれる口のサイズでなければ大丈夫ですし、気が荒くなければ大丈夫です。
例えばエンゼルフィッシュやディスカスとの混泳も可能です。エンゼルフィッシュは、場合によってはヒステリックな一面がありますが、そこまで心配はありません。ディスカスとの混泳の場合は、ディスカス専用の環境にチェリーバルブを混泳させるのがおすすめです。
チェリーバルブの繁殖
次は、チェリーバルブの繁殖について見ていきましょう。
オスメスの見分け方
魚のオスとメスの判別は、どの魚種にも共通した判別方法があります。それは体の大きさや色模様の違いだったり、ヒレの形や大きさの違いだったりで見分けますが、チェリーバルブの場合は、体色の違いで簡単に判別できます。
もう少し説明すると、オスは普段から赤味があるのですが、飼い込んでいると体色がもっと赤くなってきたり、発情して婚姻色が出てきたりすると、更にもっと赤味が増します。メスは黄色っぽい体色をしていて、オスのような色彩にはなりませんが、成熟すると体型も丸々としてきて、オスとメスの差がより明確になります。
繁殖環境の準備・ペアリング
チェリーバルブを繁殖させるには、普段の水槽で自然繁殖させる方法と、繁殖専用水槽で繁殖させる方法があります。どちらの場合も卵を産み付けるためのウイローモスなどの水草を入れます。自然繁殖の場合、卵や稚魚が生き残るには、飼育魚の匹数(魚の密度)と水草の密度(隠れ家の密度)とスペース(水槽の広さ)がポイントになります。
水草は多い方が卵や稚魚の隠れ家の確保になり、水槽が広くて魚の密度が少ない方が食卵・食子などを回避できることになるのです。繁殖専用水槽の場合は、発情しているオスと、お腹がふっくらして抱卵しているメスを1匹ずつ入れ、産卵が終わったら親魚を取り出します。
産卵〜孵化
追尾・求愛・産卵を断続的に繰り返し、30分~3時間ぐらいで産卵が終わります。産卵数は80~300程度。水温25~28℃で1~2日後には孵化します。オスはメスのお腹を口で軽く突くように刺激したり、メスの横に並んで体を小刻みに振るわせたりして、メスに産卵を促します。
産卵が終了したかどうかは、メスが一定の位置で静止する行動で判断します。この時はオスが産卵を誘導する行動をとっても、メスはこれに応じません。孵化した稚魚は、お腹にヨークサック(栄養袋)がついていてジッとしているので、もちろん餌を与える必要はありません。
稚魚の育成
孵化した稚魚は4~5日でお腹のヨークサックが無くなり、泳ぎ出すようになります。そうなったら生きたブラインシュリンプベビーを少しずつ与えてみて、食べるかどうかを見ながら与える量を見定めます。生きたブラインシュリンプを得るには、24時間以上前にはブラインシュリンプを孵化させるためにセットしておかなければならないので、気をつけてください。
ベビーフードなどの人口餌でも稚魚の育成は可能ですが、生存率や成長に雲泥の差があるので、生きたブラインシュリンプを使いこなせるようになることをおすすめします。
チェリーバルブの病気と治療方法
チェリーバルブの病気と治療方法についても解説します。
白点病
症状としては、ヒレや体に寄生した白点虫が成長して、白い点として確認できるようになります。初期段階では、体を痒がって水槽内の物に体を擦りつける行動も見られます。治療は、水温を28~30℃まで上げて魚病薬のアグテンを使って治療します。アグテンの薬効期間は2~3日なので、3日間隔くらいで繰り返し投薬することを続けます。
白点が見えなくなってからダメ押しで1~2回投薬を続けることをおすすめします。水換えも必要に応じて行ってください。
カラムナリス病
症状としては、目やヒレ・体表粘膜の白濁、口やヒレが溶けたり裂けたり充血したりします。エラがやられた場合は、外見上は何も問題ないように見えても、水流がある場所を求めてフラフラ泳いだり、餌を食べなくなったりします。治療は、グリーンFゴールド、エルバージュエースなどを使います。
その他の薬では観パラD、グリーンFゴールドリキッド、アグテンなどもありますが、先述の薬の効きが悪い場合に他の薬を試します。大事なのはPhが低い方が良いということです。最低でも弱酸性をキープすることをおすすめします。
エロモナス症
症状としては、体に穴があく、鱗が逆立つ(立鱗)、皮膚やヒレの充血、お腹が膨れる(腹水)、眼球突出(ポップアイ)、食欲不振などがあります。重症になると鱗がはがれて真皮もただれ、筋肉が露出します。治療は、エルバージュエース、グリーンFゴールドなどを使います。
他に使える薬もカラムナリス病とほぼ同じですが、観パラDやグリーンFゴールドリキッドの方がよく効くケースと、逆に効かないケースがあります。
チェリーバルブはとっても優秀な魚!

撮影:FISH PARADISE!編集部
古くから親しまれていているチェリーバルブ。丈夫なため初心者でも飼い易い熱帯魚ですが、体色の色揚がりから繁殖まで楽しめ、貝やプラナリアまで退治してくれるという、なかなか優秀なポピュラー種です。長く親しまれている理由がわかりましたね。まだ飼育したことがないかたは、一度飼ってみてはいかがでしょうか。