
ゼブラダニオの飼育方法や混泳相性など!よく泳ぐ水槽のムードメーカー!
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ゼブラダニオについて

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ゼブラダニオは、アクアリウムの世界では古くから親しまれてきた小型淡水魚で、丈夫で飼育しやすいことから初心者にもおすすめできる種類です。まずは、ゼブラダニオについて特徴や生態などをご紹介します。
ゼブラダニオの特徴
コイ目コイ科ダニオ亜科に属する、体長5cm程度の小型淡水魚です。魚体は細長い流線型のフォルムをしており、下アゴは上アゴよりも突き出ます。コイの仲間よろしく口元には2本のヒゲを持ち、体色は名前が示す通りエラブタから尾ビレにかけて、金属光沢のある青色または黄色と白色の縞模様が入ります。また、この縞模様は尻ビレにも同様に見られます。
本種は古くから観賞魚として親しまれているため改良品種も存在し、各ヒレが伸長するロングフィンタイプや体色を金色に変化させた「ゴールデンゼブラダニオ」などは一般的です。
ゼブラダニオの生態
ミャンマーからインド・パキスタンなど、東南アジア~南アジアにかけて自然分布しており、小川や水田といった流れが穏やかな場所を好んで生息しています。食性に関しては、野生では動物食を好み、環形動物や小型甲殻類、水生昆虫などを捕食しています。
しかし、飼育下では人工飼料も選り好みせず、何でも食べてくれます。自然下ではそれぞれの地域の雨季に産卵期を迎えますが、環境さえ整っていれば通年で繁殖が可能です。
ゼブラダニオの寿命
本種は他の小型魚と同様あまり長寿ではなく、通常では3~4年で寿命を迎えます。しかし、飼育環境に左右されるのは言うまでもなく、大事に飼育すれば最大で約5年間生きていた報告もあります。
それほど長い付き合いになる魚種ではありませんが、無責任に放流することのないよう、しっかりと面倒を見られる場合にのみ飼育してください。現に、沖縄本島北部では、外来種である本種が定着しており、原因は飼い切れなくなった個体の放流だと考えられています。
ゼブラダニオがうざいと言われる理由

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本種の悪評の原因はその遊泳力にあります。本種は群れを作って上層~中層を活発に泳ぎ回る性質を持つため、アクアリウムをゆっくりと鑑賞したいとお考えの方からすると、忙しない印象を与えてしまうのです。
そのため、混泳にも注意が必要で、あまり泳ぎが得意でない魚種と混泳させると、ストレスで弱ってしまう恐れがあります。
しかし、ゼブラダニオ自体が美しい魚種であるため、本種をある程度まとまった数で混泳させれば、それだけで泳ぎ回るたびに金属光沢のある鱗が光を反射し、見ごたえのあるアクアリウムに仕上がります。
ゼブラダニオの近縁種
ゼブラダニオの近縁種についてご紹介します。
パールダニオ
体長5cm前後の、スマトラ島からマレー半島、ミャンマーにかけて分布している種類です。口元にはやはり2本のヒゲを持ち、体色は体の後ろ側を中心に青色に染まります。名前の通り真珠のような光沢があり、光が当たる角度で色彩が変化する美しい種類です。
ダニオ・エリスロミクロン
体長3cm程度の特に小型の種類で、ミャンマーのインレー湖が原産です。長らく実物が輸入されなかったことから、一時は幻の存在とされていました。体色が特徴的な人気種で、青地の体に明色の細かいバンドが無数に入り、尾柄部には黒色のスポットが入ります。
ゼブラダニオの飼育法
基本的には小型淡水魚の飼育法に準じますが、本種の場合は高い遊泳力を考慮したレイアウトにしてあげないと、ストレスを与えてしまいます。ここでは、ゼブラダニオの飼育法についてご紹介します。
水槽・フィルター
ゼブラダニオは小型魚なのですが、前述のように群れで活発に泳ぎ回ることから、水槽のサイズは最低でも45cmクラスはあったほうが良く、可能ならば60cmクラス以上の物がおすすめです。
ちなみに、小型魚の場合は体長1cmにつき水1Lが安全に飼育できる目安とされています。そのため、45cm規格水槽なら水が約32L、60cm規格水槽では約65L入るので、前者は5~6匹、後者は12~13匹が同時に飼育できる目安です。
フィルターに関しては、本種はそれほど水を汚す種類ではないので、水槽サイズに適合している物ならば任意の機材で構いません。
メンテナンス性を重視するなら上部式や外掛け式、鑑賞性を重視したいなら外部式など、ご自身がアクアリウムに求めるものを考慮して選択してください。
水温・水質
ゼブラダニオが好む水温は、一般的な熱帯魚よりは低く23~27℃前後ですが、本種は丈夫な種類なのでそこまで厳密に管理する必要はありません。
とは言え、日本の気候では夏場と冬場は厳しいため、冷却ファンやヒーターなどで水温管理を怠らないようにしてください。
水質に関しては、急変さえ避ければpH6.0~8.0程度の弱酸性から弱アルカリ性まで、幅広く適応できます。ただし、産地によってはアルカリ性側を好む場合があるので、発色が良くないなどの症状が見られたら、pHを弱アルカリ性に調整してみてください。
レイアウト
先に述べた通り、本種は活発に遊泳することから、遊泳層である上層~中層はなるべく空けておいた方が良いでしょう。水草を積極的に食べる性質は持ち合わせていないため相性は良好ですが、背の高い水草をレイアウトする際は、遊泳スペースを圧迫しないようにしてください。
反面、ウィローモスなど背が低い水草は、詳しくは後述する産卵床にもなるのでレイアウトの自由度は高いです。また、遊泳力が高いということは、水面から飛び出す力も強いです。水槽には必ずフタを設置し、簡単に外れないよう重しをするなどして、しっかりと固定しておきましょう。
ゼブラダニオの餌
餌は小型熱帯魚用の人工飼料であれば何でも構いません。口に入る粒の小さい物であれば、大抵の餌は選り好みせずよく食べてくれます。それに加えて、たまにブラインシュリンプやイトメなどの生餌を与えると喜びますし、栄養バランス的にも健康的な生育が望めます。
与え方としては、1日に1~2回、3分程度で食べきれる分量を与えます。食べ残しは水質を急速に悪化させるので、与え過ぎに注意するとともに、食べ残しが出た時は速やかに網で掬うなどして除去しておきましょう。
ゼブラダニオの繁殖方法
本種は水槽内でも比較的簡単に繁殖させることが可能です。繁殖の入門種としても最適なのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
オスメスの見分け方
メスは産卵期になると抱卵するため、お腹がふっくらとしてくる特徴があります。一方、オスは同時期にメスを追いかけるようになることから判別が可能です。
逆に言うと、産卵期以外では外見でのオス・メスの判別は困難なので、繁殖を狙う場合はある程度の数を購入し、オスとメスが入っていることを期待するよりほかありません。幸い、本種はメジャーな種類ということもあり、10匹で1000円前後で販売されていることが多いため、経済的な負担は少なく済みます。
繁殖を狙う場合は数をそろえるのに伴って、水槽サイズは必然的に60cmクラス以上の物が推奨されます。
ペアリング
ペアリングについては、特別に意識して行う措置はありません。オスとメスを同一水槽で適切に飼育していれば、産卵の準備が整い次第、自然にペアが形成されます。繁殖水槽にはウィローモスなどの背が低い水草を産卵床として入れておいてください。
水温・水質や産卵床の存在などの条件が整っていれば、本種は通年での繁殖が可能です。
産卵
産卵はオスが先導し、メスの体に巻き付くようにして行われます。ゼブラダニオの卵は非粘着性の沈性卵でバラまくように産卵します。同種は自分の卵を食べる性質を持つので、産卵後は採卵するか、ウィローモスなどを沢山入れて親魚に見つからないようにしておきましょう。
採卵した場合は別の容器に隔離・保護し、エアレーションを施しておきます。そうすることで、酸素を供給するとともに、穏やかな水流が発生するため水カビの防止措置になります。
稚魚の育成
採卵しない方法を選んだ場合、やはり稚魚が親魚に食べられてしまうことを防ぐために、稚魚が誕生したら別の容器に保護してください。稚魚の餌は親魚と同じ人工飼料で構いませんが、口が小さいので細かく砕いてから与えてください。
稚魚用に粒形の細かい餌も販売されているため、それを利用するのも良いでしょう。それと併用して、ブラインシュリンプといったプランクトン系の活餌を与えると成長を促進することが可能で、死亡率が高い時期を早期に抜けられます。
また、稚魚期は1日の給餌回数を多くしてください。稚魚は成長に多くの栄養を要求する一方で、体が小さく1度に食べられる餌の量が少ないためです。1回にいたずらに多くの餌を与えても、食べ残しを発生させて水質の悪化を招くだけなので注意してください。
ゼブラダニオの気をつけたい病気と治療法
ゼブラダニオは丈夫な種類なのであまり病気にならないのですが、環境が悪いとコイ科の魚に多い病気にかかることがあります。ここでは、本種の飼育において気を付けたい病気とその治療法をご紹介します。
白点病
白点病は全ての熱帯魚に共通して注意が必要な代表的な病気です。
症状としては、全身に白色の斑点が現れ、体を擦り付けるようにして泳ぐ、などが挙げられます。原因は「ウオノカイセンチュウ(学名:Ichthyophthirius multifiliis)」と呼ばれる繊毛虫に寄生されることで、水質や水温が不適切などの理由で免疫力が低下すると発症しやすくなります。
治療法としては、「グリーンFリキッド」や「アグテン」などの魚病薬を用いた薬浴が挙げられます。また、本病原体は高水温では繁殖ができなくなるため、水温を28℃程度まで上昇させることも効果的です。
本種の場合、水槽導入直後にかかりやすいと言われているので、水合わせはしっかりと行ってあげてください。
ウーディニウム病
この病気はコイ科の魚が共通してかかりやすい病気です。
症状として見られるのは、全身に黒色~褐色の小さな斑点が現れ、体をレイアウト用品などに擦り付ける、ヒレを震わせるなどです。原因は、鞭毛虫の1種である「ウーディニウム(Oodinium)」に寄生されることで、やはり飼育環境の悪化でゼブラダニオの免疫力が低下すると発症リスクが上昇します。
病魚の外見が、コショウを振り掛けられたり、錆が浮いているようになることから、別名で「コショウ病」や「サビ病」などとも呼ばれています。
治療はやはり薬浴で行い、有効な魚病薬は「アグテン」や「メチレンブルー」が代表的です。治療の際は0.5%の塩水浴を併用するとより効果的で、極初期であれば塩水浴のみで治癒するケースもあります。
腹水病
これは腹腔内に水が溜まり、腹部がパンパンに膨れ上がってしまう病気です。原因は「エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)」と呼ばれる細菌に感染することで、環境の悪化などのストレスで免疫力が低下すると発病する恐れがあります。
エロモナス菌自体は水中に常在する普遍的な細菌で、鞭毛を持ち自ら動くものと持たないものなど、幾つかの種類が居ることが確認されています。本細菌は鞭毛をもつ種類で、感染することで腹水病の他にも「赤斑病」や「松かさ病」などと呼ばれる症状を引き起こすことが知られているため、これらを総称して「運動性エロモナス症」と呼んでいます。
治療は抗菌剤による薬浴や水温のコントロールで行います。まず、効果的な魚病薬としては、「グリーンFゴールド 顆粒」や「観パラD」、「エルバージュエース」が挙げられます。薬浴の際は例によって、塩水浴を併用するとより効果的です。
また、本細菌は25~30℃の高水温下で繁殖しやすいため、水温をそれより低い温度(23℃程度)に低下させると良いでしょう。幸い、ゼブラダニオは一般的な熱帯魚よりは低水温を好むので、水温を下げても問題ありません。
動きのあるアクアリウムの演出に最適!元気に泳ぐゼブラダニオ!
ゼブラダニオは体長5cmほどの小型魚で、名前の通り奇麗な縞模様が特徴的な熱帯魚です。特筆すべきはその遊泳力の高さで、水槽内を盛んに泳ぎ回るので見ていて飽きません。
しかし、人によっては鬱陶しく感じることもあるため、ご自身がどのようなアクアリウムを求めているのか、完成像を見越してから飼育すると良いでしょう。
本種自体は丈夫かつ美しく、安価と入門種としても適しているので、ぜひ飼育してみてください。