ピラニアは実は臆病!?飼育の基本や人気の種類などを網羅!

ピラニアは実は臆病!?飼育の基本や人気の種類などを網羅!

アイキャッチ画像撮影:FISH PARADISE!編集部

ピラニアとは

危険生物として名高いピラニアですが、実際はどのような魚なのでしょうか。まずはピラニアの特徴や生態、種類などをご紹介します。

特徴

ピラニアの特徴 撮影:FISH PARADISE!編集部 ピラニアはカラシン目セルサラムス科に属する淡水魚の総称です。食性は肉食性で体長は小型の種類で約15cm、大型の種類で約60cmまでに成長します。ピラニアとは現地の言葉で「歯がある魚」の意味でその名の通り、人の皮膚程度であれば触れただけでも切れてしまうほど鋭利な歯を持つことが特徴です。 赤色や黄色など美しい体色をしている種類も多いので、アクアリストの中にはピラニアを積極的に飼育する愛好家もいます。

分布

ピラニアの分布 出典:Pixabay ピラニアはアマゾン川を中心に、サンフランシスコ川やエキセボ川など南米の熱帯地域の河川に幅広く生息しています。野生では群れを作って生活しており、棲家を決めるとその周辺からはあまり動きません。 長距離を移動したり回遊する性質を持たないので、乾季には水位が下がって身動きが取れなくなったピラニアを、鳥類やワニなどが捕食する様子を観察できます。

生態

ピラニアの生態 撮影:FISH PARADISE!編集部 ピラニアの寿命は短い品種で8年前後、長い品種では20年を超えるものもいます。観賞魚として最も流通しているピラニア・ナッテリーの場合、飼育環境下でも上手に管理できれば15年前後は生きます。野生では小魚や水面に落ちた雛鳥、ネズミなどの小型哺乳類を捕食しており、自分より大型の生物を襲うことは稀です。 雨季に産卵期を向かえ、オスとメスがペアになりオスが川底をならして産卵床を整え、メスがばらまき産卵を行います。産卵後はオスが卵を見張り、稚魚が遊泳できるまで保護する習性があります。

ピラニアの種類

ピラニア・ナッテリー 観賞魚として飼育されるピラニアの中で最もメジャーな品種で、体長は30cm前後にまで成長します。流通量が多く価格も数百円から販売されているので入手は容易です。 ピラニア・ピラヤ 体長50cmほどの大型のピラニアです。頭部から腹部にかけて濃い黄色からオレンジ色の体色が特徴的です。 ピラニア・マリタピンニス ベネズエラを流れるオリノコ川などに生息している、体長20cmほどの品種です。体色は銀色を基調に全身に黒い斑点があり、腹部を中心にオレンジ色が入る特徴があります。 ジャイアントイエロー・ピラニア パラグアイ水系に生息するピラニアで、腹部を中心に黄色が入ることが特徴です。流通量が多いので入手は容易で、体長は40cmほどに成長します。 ダイヤモンド・ピラニア 体長約20cmとピラニアの中では小型の品種で、南米のパラナ川やグアポレ川に生息しています。ダイヤモンドを散りばめたような美しい模様を持つことが特徴です。 ダイヤモンドイエロー・ピラニア アマゾン川に生息する体長25cm前後になるピラニアです。黄色を基調とした体色にところどころ銀色のうろこを持つため、ダイヤモンドを散りばめたように見える美しさがあります。 エロンガーター・ピラニア ピラニアの中では珍しく体高が低く、細長い体形が特徴です。アマゾン川に生息しており体長は20cmほどに成長します。 カタリーナ・ピラニア アマゾン川に生息し、体長は20cmほどに成長します。銀色を基調にやや黄色がかる体色をしており、黒色の斑点が入ることが特徴です。 ノタートゥス・ピラニア 尻びれが赤色であることが特徴的です。ナッテリーと体色が類似している個体もいますが、ノタートゥスはエラの後ろに大きな黒点が入ります。 スーパーノタートゥス・ピラニア ブラジルのシングー川に生息するピラニアで、体長は50cmほどに達する大型の品種です。ノタートゥスのように、エラの後ろに黒点が入ることから名づけられましたが、種としては遠縁です。 ストリオラートゥス・ピラニア 個体差はありますが、エラ蓋と尾びれが赤色~オレンジ色になるピラニアです。ブラジルのシングー川に生息し、体長は15cmほどの小型の品種です。 サンフランシスコ・ホワイトピラニア ピラニアの中では比較的体高が低い品種で、成魚の体長は30cmほどです。ブラジルのサンフランシスコ川に生息しており、体全体に薄い黒色の斑点が入ります。 ブラック・ピラニア 体長50cm前後になる大型の品種で、性格は他種よりも凶暴です。名前の通り黒一色の体色が特徴で、アマゾン川とその支流に生息しています。 ブランドティ・ピラニア ブラジルのサンフランシスコ川に生息する体長20cmほどのピラニアです。金色~白色に輝くうろこがきれいな品種です。 ホワイト・ピラニア アマゾン川の支流の一つであるネグロ川に生息する、体長25cmほどのピラニアです。多くの品種と違い目が黒く、体全体に薄い黒色の斑点が出ます。また、エラの一部が黄色~赤色に染まります。 ラインノーズ・ピラニア この品種の最大の特徴は、下顎から口を跨いで背びれの付け根あたりまで伸びる一本の線です。体長は20~30cmほどで、ブラジルのトカンチンス川などに生息しています。 ウィンプル・ピラニア 下顎がかなり突出していることが特徴で、他の魚のうろこを食べるスケイルイーターとして知られています。アマゾン川を中心にオリノコ川などに生息している体長15cmほどの小型の品種です。 ピラニア・コンプレックス アマゾン川とその支流であるマデイラ川に生息する体長20cmほどの品種です。高い体高と小さい頭部を持つため、頭が凹んで見えます。銀色に輝く美しいうろこを持ちます。 アルトゥベイ・ピラニア ベネズエラのオリノコ川に生息するピラニアで、成魚の体長は20cmほどです。頭部が小さく体高が高いためひし形のようなフォルムをしています。

ピラニアの性格って本当はどうなの?

映画などの影響で人をも襲うような獰猛なイメージが強いですが、条件が揃わなければ臆病で神経質な魚です。

実は意外と臆病なピラニア

ピラニアは臆病? 出典:pixabay ピラニアの中でも特にナッテリーは臆病な品種で、単独で飼育すると水槽内の物陰からなかなか出てこないこともあるほどです。すると、観賞魚としての価値が下がってしまうので、ナッテリーは通常は複数で飼育します。 また、突然の物音や光にも驚きやすく、水槽内のレイアウトを崩すほど暴れることもあるので、ピラニアの水槽はできるだけ静かな環境に置く必要があります。

凶暴な一面もあるので注意!

ピラニアは臆病 撮影:FISH PARADISE!編集部 ピラニアは意外と臆病で繊細な面を持つと前述しましたが、もちろん凶暴な面もあります。特に血の臭いや大きな音には敏感で、興奮すると牛のような大型の哺乳類をも群れで襲って食べてしまいます。 メンテナンスのためにピラニアが居る水槽内に手を入れる必要がある時は、傷の有無を確認し厚手の手袋などで手を保護することを忘れないでください。

ピラニアの飼育方法

ピラニアは水質の悪化や病気に強い魚なので、設備さえ整えれば飼育すること自体は容易です。

水温・水質

ピラニアは種類が多いため適温も若干異なります。ナッテリーなど多くの種類の適温は25~28℃ですが、ウインプル・ピラニアなど一部の種類では23~26℃とやや低めです。 ピラニアを購入する際は、ショップなどに適温を確認することを忘れないでください。いずれにしても、30℃を上回る高温や20℃を下回る低温には弱いので、水槽用のクーラーや冷却ファン、ヒーターなどで水温を管理することが必要です。 水質はpH6.0~7.5を保てば問題ありません。ピラニアは水質に対する順応性が高いので、水質の管理に神経質になる必要はありませんが、食性の関係で水が酸性に傾きやすい点には注意してください。 水槽のヒーター・クーラーについては別記事で詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。

水槽サイズ・フィルター

ナッテリーの場合は体長30cmほどに成長し、複数飼育することが一般的なので90cmクラスの水槽が必要です。他の種類のピラニアは混泳に向いておらず、基本的に単独で飼育することになるのでナッテリーより大型の品種でも同等の、ナッテリーより小型の品種では45~60cmクラスの水槽があれば飼育できます。 いずれの品種も餌を散らかすようにして食べるために水が汚れやすいので、フィルターは強力なものを用意してください。チューブ類は噛み切られることが多いので、カバーで保護するかセパレーターでピラニアが近づけないようにした方が良いでしょう。

ピラニアの餌

ピラニアは基本的には何でも食べる雑食性ですが、ご存知の通り動物質のものを好みます。人工餌に対する食いつきが悪い場合は、アカムシ、小赤などの生餌を中心に少量の人工餌を混ぜて与え、徐々に人工餌の配分量を増やしていくと良いでしょう。 人工餌を中心に飼育できれば、餌代や水質維持の観点から飼育がより容易になります。ナッテリーを混泳させる場合、餌が不足すると共食いが生じやすいので1日に複数回、十分な量の餌が全体に行き渡るように与えてください。

ピラニアの釣り

ピラニアの釣り 出典:Pixabay ピラニアはアマゾン川を中心に南米の熱帯地域に広く分布しており、その知名度の高さも相まって観光資源として重要な位置を占めています。代表されるのが、ツアーにおけるピラニア釣り体験です。 ガイアナやボリビアといった南米でのツアーの内容に、ピラニア釣りが含まれており人気のレジャーとなっています。回遊する性質を持たないことからポイントを絞りやすく、釣った時の手応えが強いことなどが人気の理由です。

ピラニアは実は美味しい!?おすすめの料理をご紹介!

ピラニアは脂がのっている白身魚で、良質なたんぱく源として現地では一般的に食されています。料理法は塩焼きやスープが一般的で、良質な出汁が取れるので特にスープにすると非常に美味しく頂けるそうです。 また、日本人観光客向けには刺身も提供してくれる場所もあります。ピラニアの刺身は脂がのっていて美味しいらしいのですが、淡水魚は寄生虫がいる可能性が高いので挑戦する場合はよく噛んで食べた方が良いでしょう。

ピラニアをモチーフにした映画も気になる!(ピラニア3D、リターンズなど)

ピラニアの映画 出典:Pixabay ピラニア映画の元祖といえば1978年に公開された『ピラニア』です。パニック映画の代表作『ジョーズ』のヒットを受けて制作された動物パニック映画の一つで、『グレムリン』を手掛けたジョー・ダンテ監督の出世作でもあります。ストーリーは米軍によって生物兵器に品種改良され人々を襲うピラニアと、それに立ち向かう人々を描いています。 2010年に公開された『ピラニア3D』は映画『ピラニア』のリメイク作品で、3D映画として放映されました。2012年には続編にあたる『ピラニア リターンズ』が公開されるなど、興行的に成功を収めています。

ピラニアはワイルドな魅力がある観賞魚!

ピラニアは意外と可愛い 出典:Pixabay 凶暴なイメージが先行しやすいピラニアですが、意外と臆病で繊細な魚であることがご理解いただけたでしょうか。食性や性格からやや大きめの設備が必要になりますが、ピラニアは水質の悪化や病気にも強いため飼育しやすい熱帯魚です。 色や模様が美しい品種も多く、ピラニアならではの迫力ある食事風景など非常に見ごたえのある観賞魚なので、飼育をご検討してはいかがでしょうか。
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