
ブラックゴーストは不思議な熱帯魚!飼育法やレイアウトのコツは?
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ブラックゴーストってどんな魚?
直訳すると「黒い幽霊」という不気味な名前ですが、どのような魚なのでしょうか。まずはブラックゴーストの特徴や生態などについてご紹介します。
特徴

ブラックゴーストはデンキウナギ目アプテロノートゥス科に属する淡水生の古代魚です。尾びれの付け根部分が非常に長く、尾びれと腹びれが一体化している独特のフォルムを持ちます。名前の通り体色はほぼ黒一色ですが、尾の部分に白い帯状の模様が2つ入ります。
背中に白色のラインが入る個体もいますが、成長とともに不明瞭になる傾向が強いです。そのひれの構造から前後左右にゆらゆらと水中を漂うように泳ぐことができます。
ブラックゴーストは電気を発する?

ブラックゴーストの目は小さく退化しており、ほとんど見えないと言われています。代わりに微弱な電気を発生させて、餌の位置や障害物の有無を感知する能力を持っています。デンキウナギのように獲物をショック状態にするほど強力なものではありません。
分布

ブラックゴーストは南アメリカに生息しており、アマゾン川を中心にペルーやパラグアイ、ベネズエラの河川で見ることができます。主に水底で生活し、昼間は流木の影などに身を隠していますが、夜になると活発に活動する夜行性です。
寿命
ブラックゴーストの寿命は5~10年ほどです。成魚は体長約30~40cmに達しますが、飼育環境下では30cmほどで成長が止まる場合が多いです。
流通量と相場
ブラックゴーストは観賞用熱帯魚としては一般的に流通している魚です。主に東南アジアで養殖された幼魚が輸入されているので、熱帯魚を扱っているペットショップなどなら見つけることは難しくないでしょう。相場価格としては500~1000円くらいで販売されています。
/ブラックゴーストの仲間(近縁種)
ブラックゴーストの近縁種をご紹介します。
グリーン・ナイフフィッシュ
丸みを帯びた頭部を持ち、灰色を基調に半透明をした体色が特徴的です。南米アマゾン川を中心にブラジルやパラグアイの河川に生息しています。体長は最大40cmほどですが、飼育下では20cm前後にとどまることが多いです。
トランペット・ナイフフィッシュ
細く伸びた口先と暗灰色を基調とした迷彩柄が特徴で、体長は40~50cmほどに達します。ブラジルを中心に南米の河川に生息しています。国内で流通している個体は体長15cm前後の幼魚が多いようです。
ブラックゴーストの飼育の基本

ブラックゴーストはやや神経質ですが、環境に対する適応力は比較的高いため飼育しやすい熱帯魚です。
水温・水質
ブラックゴーストの飼育が可能な水温は23~28℃です。ただし、低温では白点病が出やすいので、年間を通して25℃以上を保った方が良いでしょう。一般的な熱帯魚よりも水温の許容範囲が広いですが、夏はクーラーやファンを、冬はヒーターを用意して水温を管理してください。
水質はpH6.0~8.0の中性付近を保てば問題ありません。人工餌への餌付けができていない頃は、食性の関係から酸性に傾きやすいので注意してください。
水槽サイズ・フィルター
ブラックゴーストは飼育下でも体長30cmほどに成長します。水槽は90cmクラスのものを用意できれば理想的ですが、単独の場合は60cmクラスでも飼育可能です。フィルターは生餌を中心に与える場合は水が汚れやすいので、外部式や上部式などろ過能力に優れたものを選択すると良いでしょう。
ブラックゴーストは野生では水流が穏やかな場所に生息しているので、フィルターやエアレーションで強い水流が生じないよう、配置などを工夫してあげてください。
アクアリウムが初めての方は、水槽セットもおすすめです。
底床材
ブラックゴーストの場合、底砂などの床材は特に必要ありません。水草水槽で飼育したい場合は、水草の育成に適した底砂を選択しても、ブラックゴースト側に問題は生じません。
/ブラックゴーストの餌
ブラックゴーストは野生では小魚や昆虫類を捕食する肉食性です。餌はアカムシやメダカなどの生餌を好みますが、餌付け次第で、肉食魚用の人工餌も食べるようになります。
ブラックゴーストは通常、日中は寝ており給餌しても食べないので、餌は活動している夕方から夜間にかけて与えると良いでしょう。
ブラックゴーストの水槽レイアウト(隠れ家など)
野生のブラックゴーストは日中、流木などの物陰に隠れて寝ています。よって、飼育下でも身を隠せる場所がないとストレスを感じてしまいます。
水槽内にはブラックゴーストが隠れるために十分な大きさのシェルターなどを配置してください。体を横に倒して眠る、魚としては珍しい寝相を見ることができます。
また、肉食性で器用に泳げることから水草との相性が良いです。引っこ抜かれる心配がなく、隠れ家にもなるので水草を植えることもおすすめです。
ブラックゴーストの混泳
ブラックゴーストは通常ではおとなしい魚なのですが、その特性から単独で飼育することが基本です。
同種・近縁種との混泳
ブラックゴーストは前述したように、微弱な電気を発生させて周囲の状況を探知しています。そこに同じような方法で周りを伺っている同種や近縁種が存在すると、自分の発する電場が乱れることを嫌ってか相手を排除しようと激しく喧嘩します。
縄張りが重ならないようにすれば問題を回避できますが、ブラックゴースト自身がそれなりに大きくなるので非常に大きな水槽が必要です。同種や近縁種との混泳は基本的には避けた方が良いでしょう。
他種との混泳
他種との混泳相性も良くありません。まず、エレファントノーズフィッシュやジムナーカスなどの電気を発する魚種は、同種・近縁種と同じ理由で攻撃してしまいます。また、ブラックゴーストは肉食性なので自分より小さい魚は捕食対象です。
さらには、夜行性という面もお互いにとってストレスになることが多々あります。
しかしながら、同じくらいの大きさの魚であれば、隠れ家をたくさん用意するなどの工夫で混泳の成功例が報告されています。いずれにせよ、喧嘩してしまった時に空き水槽に隔離するなどの対応ができる環境にない場合は、混泳に挑戦することは避けた方が良いでしょう。
ブラックゴーストの繁殖
ブラックゴーストは雌雄間にこれといった外見的な差異がありません。ペアになってみるまでオスとメスの区別がつかないことも多々あります。
しかし、上記したように同種同士の混泳の相性が非常に悪い魚種なので、個人での繁殖は設備の面で難易度が高いのが現状です。
事実、個人による繁殖の成功例はほとんど確認されていません。
/ブラックゴーストの病気
ブラックゴーストの飼育において注意すべき病気は、一般的な熱帯魚と同じく「白点病」です。水質や水温の急激な変化により、ストレスを感じると発症するリスクが高まります。症状としては全身に白い斑点が現れ、体をあちこちに擦りつけるように泳ぐことが挙げられます。
発症した場合、白点病の原因となる寄生虫の活動が低下する30℃ほどに水温を上げつつ、「グリーンF」などを用いて薬浴させましょう。古代魚は一般的に薬物耐性が低いので、規定量の1/3~1/2の濃度で治療を行ってください。
/ブラックゴーストとのんびりとした夜のひと時を
ブラックゴーストはやや神経質な面もありますが、水温や水質に対する適応力が比較的高いので飼育しやすい部類の熱帯魚です。夜行性なので仕事で帰りが遅くなりがちな方でも、ちょうどブラックゴーストの活動時間に餌やりを楽しむことができます。
意外と人懐っこい面もあり、人に慣れれば餌をねだって寄ってくることもあります。水中をゆらゆらと漂うように泳ぐ姿は見ていて癒されると思うので、飼育をご検討してはいかがでしょうか。