
オトシンクルスを飼育しよう!種類や混泳、コケ取り能力も徹底比較!
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オトシンクルスってどんな魚?
まずは、オトシンクルスの特徴や種類について見てみましょう。
オトシンクルスの特徴

オトシンクルスはナマズ目ロリカリア科に属する魚の総称で、全長3cm程度の小型種です。アマゾン川をはじめとする南米に広く分布しており、一般的にオトシンクルスと呼ばれるのは オトシンクルス・ヴィッタータスと呼ばれる種になります。
性格はとても温和で、水槽内のコケをよく食べてくれることで コケ取り生体としてよく知られています。
オトシンクルスの種類
オトシンクルスには様々な種類が知られています。近年になって新種も発表されており、分類体系はまだ不安定です。地域差や個体のバリエーションなども知られています。
オトシンクルス・ヴィッタータス
分布はアマゾン河中流域に生息し、全長は5㎝ほどのオトシンクルスとして流通する代表種の1つです。通常は他種に比べると丈夫な方で飼育もしやすく、コケの他にドライフードも食べます。
ヴァンパイア・オトシン
分布はペルーで、全長は4㎝ほどになります。真上から魚体を見た時に、頭部に入る模様が牙状に見えることから名付けられました。流通量は少なく、高価な部類になります。基本的には丈夫な種です。
オトシン・ネグロ
分布はブラジル南部~中央高原で、全長4㎝ほどになります。明るい褐色をしています。WILD個体の他、近年では国産ブリード物も流通します。オトシンクルスの仲間では繁殖も比較的容易な種です。
ニューゼブラオトシン
全長は5㎝ほどになり、ペルーに分布します。ゼブラオトシンより体側の模様が細かく、本種の方が少し大きく感じます。比較的に丈夫で飼い易く、模様のバリエーションも多いです。
ニュージャイアントオトシン
分布はアマゾン河で、全長は6㎝ほどとやや大きく成長するオトシンクルスの一種です。ジャイアントオトシンよりスマートな体形で、吻長も少し短いのが特徴です。模様も美しく、丈夫で飼育しやすい種ですが、輸入量は少なめです。
ボルケーノオトシン
分布はペルーで、全長は3㎝ほどに成長します。頭部を中心に見せる赤い発色から名付けられました。入荷直後はデリケートな面がありますが、いったん落ち着いた個体は飼い易いほうです。
その他のオトシンクルスの仲間
オトシンクルス・ヴェスティタス
分布はアマゾン河上流~中流域で、全長は4㎝ほど。こちらも「オトシンクルス」として流通する種です。入荷直後に痩せている場合は、餌を十分に与えて太らせるようにしましょう。
オトシンクルス・フレキシリス
分布はブラジル東南部で、全長は7㎝ほど。この属のなかでは大型種です。腹部は白く、背中から体側は暗いグレーのような感じです。輸入量は非常に少ない種です。
そのほかにも下記のような種類がいるとされています。
オトシンクルス・ミムルス
オトシンクルス・マクロスピルス
オトシンクルス・ホッペイ
オトシンクルス・マリアエ
オトシンクルス・アフィニス
オトシンクルス・ハセマニイ
オトシンクルスの寿命
オトシンクルスの寿命は3年ほどです。オトシンクルスの健康状態のほか、環境や飼い方によっても寿命が左右されます。
早く死んでしまう場合は、導入時の健康状態が悪い場合もあるので、購入する際は注意が必要です。
餌を与えた時に、匂いに反応して動く個体であれば、状態に不安は無いと考えていいです。痩せていない個体を選びましょう。
/オトシンクルスの飼育環境
オトシンクルスの飼育の基本について詳しくご紹介します。本記事では、初心者でも育てやすいオトシンクルス・ヴィッタータスの飼育の基本を解説していきます。
水槽サイズ
水槽サイズは何㎝水槽でも構いませんが、なるべく水量の入るサイズがおすすめです。理由としては、水量があるほど水質悪化しにくいからです。
小さめの水槽の場合、普通の30㎝水槽にオトシンクルスを5匹くらいから飼育するのが適当です。その場合、オトシンクルスのみであれば、倍の10匹でも余裕です。
30㎝水槽にオトシンクルス5~10匹、ヤマトヌマエビ3匹程度、アピストグラマのペア、などの混泳でも簡単に管理できます。
水量が多い水槽ほど自由度も増しますが、オトシンクルスの状態を把握しにくくなるというデメリットはあります。
ろ過設備(フィルター)
小型~60㎝水槽まででしたら、 外掛け式フィルターが手軽でおすすめです。投げ込み式フィルターやコーナーに付けるタイプのフィルターだと濾過能力が物足りないので、特に初心者はやめておきましょう。投げ込み式フィルターなどは、サブフィルターとして使用するのがおすすめです。
60㎝水槽からであれば、上部式フィルターや外部式フィルターなど何でも構いません。水草に力を入れた水槽にするのかどうかなど、自分がやりたいことに最適なフィルターを選べばいいです。小型水槽用の外部式フィルターの場合、作りが華奢なので取り扱いには注意しましょう。
水温・水質
オトシンクルスは、 水質は特にこだわらず、極端な酸性やアルカリ性でなければ大丈夫です。水温も幅広く適応しますが、高温よりは低温に強い面があるので、 おおむね20~28℃くらいと考えてください。
これより低温や高温になったからといって、必ずしも死ぬわけではありませんが、そのへんは環境の良さや個体の健康度で左右されます。どちらにしてもオトシンクルスは低温に強いほうなので、適水温も経験上、若干低めの23~25℃程度だと感じています。
実際、冬にヒーターなしの室内の水槽で、20℃以下の水温でも管理可能なのを確認しています。ですが、基本的に熱帯魚ですので、ヒーターを用いた飼育を行いましょう。
底床や水草
底床や水草は何でも構いません。ただし、サンゴ砂は極端な水質になるので、間違っても選ばないでください。目的によって底床の種類を選ぶことになりますが、水草水槽をやる人であれば、多くの人はソイルを選ぶことになると思います。
または、ソイルと田砂のようなものを敷きわける人もいると思います。特に制限はありません。そもそも、底床を敷かないベアタンク方式で飼育しても構いません。
管理重視の飼育スタイルにするのであれば、ベアタンク方式の飼育法になります。この場合、水草は石や流木に活着させるタイプを選んだり、水草は入れない選択肢もあります。
/オトシンクルスの餌

オトシンクルスの餌は、プレコの場合のように、皮を剝いて切ったキュウリなどを与える方法もあります。しかし、水質悪化や水換えのタイミングを判断するのが人工餌とは異なり手間が増えるので、おすすめしません。
オトシンクルスは基本的に雑食性なので、もちろんコケもあれば良いですが、なくても人工餌を食べてくれます。人工餌を食べないという場合は、単に他のものでお腹を満たしているか、不健康体で死ぬのが近い個体であるためです。
餌への慣れの問題もありますが、健康体であれば問題になることはなく、すぐに人工餌を食べてくれます。メダカや金魚のドライフード、冷凍赤虫など何でも食べます。
プレコのように、ディスカスの体表を舐めたりもするので、このことからも雑食性であることがわかります。
/オトシンクルスの繁殖
オトシンクルスの水槽内での繁殖は可能です。ただし、オトシンクルスの仲間だとオトシンネグロが繁殖させやすいのですが、オトシンクルスとなると難しくなります。
そもそも市場に流通している個体を見ればわかるのですが、オトシンネグロはブリード物がいるのに対し、オトシンクルスはブリード物は流通していません。そのようなことからも繁殖が難しいということが、うかがえます。
ヤマトヌマエビのように繁殖させる労力の割に値段のつかない種や、そもそも繁殖が難しい種は、ポピュラー種でもブリード物がいません。
ちなみにオトシンクルスの繁殖はコリドラスと同じような形態なので、興味のある方は挑戦してみるのも面白いと思います。
/オトシンクルスの飼育のコツ
オトシンクルスの飼育におけるコツをチェックしておきましょう。流通量が多い種の割には気難しいとも言われていますので、しっかりとコツを覚えておきましょう。
導入時に気をつける
オトシンクルスはやや水質に敏感とされているので、導入時の水合わせは慎重におこないましょう。導入時はオトシンクルスが入った袋を水槽に浮かべ水温を合わせた後、オトシンクルスをプラケースなどに入れ、エアチューブとコックを使い点滴するように合わせる方法がおすすめです。
飼育密度と餌にも注意
オトシンクルスは混泳水槽に導入することがほとんどなので飼育密度には注意しましょう。また、オトシンクルスは コケがないとすぐにやせ細ってしまいます。
オトシンクルス用に餌をあげても混泳相手によっては先に食べられてしまうことも多いので、餌の量を上手に調整してしっかりとオトシンクルスが食べられるようにしましょう。
/オトシンクルスと他魚種のコケ取り能力を比較!
コケ取り生体として有名なオトシンクルスですが、他種とコケ取り能力を比較してみましょう。
サイヤミーズフライングフォックスとオトシンクルス

サイヤミーズフライングフォックスは オトシンクルスが食べてくれない黒ゴケを食べてくれます。そのほか茶ゴケも食べてくれサイズもオトシンクルスよりも大きいため、コケ取り能力はより高いと言えます。
ただし、サイヤミーズフライングフォックスは 大きくなるとあまりコケを食べてくれず、気性もやや荒くなるという問題があります。オトシンクルスは成長しても数cmで性格も温和なので、小型水槽のコケ取りであればオトシンクルスの方が向いていると言えます。
ブラックモーリーとオトシンクルス

オトシンクルスが茶ゴケを食べるのに対し、 ブラックモーリーは大食漢で糸状藻や油膜も食べてくれますが、水槽の茶ゴケなどには効果がありません。食べてくれるコケの種類が両種では違うため、コケ取りは一概に比較できません。
両種を混泳させることも可能ですが、ブラックモーリーはオトシンクルスに与えた餌も食べてしまう場合もあるため注意しましょう。また、ブラックモーリーは水草も食べてしまうこともあります。
エビ類とオトシンクルス

エビ類は水草に生えるコケを食べてくれます。ミナミヌマエビやヤマトヌマエビがコケ取りとしては代表的ですが、 とくにヤマトヌマエビのコケ取り能力は高くおすすめです。
オトシンクルスと比べても、コケ取り能力は高いと言えるでしょう。ただし、ヤマトヌマエビはサイズも大きく、小型魚水草などでは魚の餌も食べてしまうことがあるので注意が必要です。
/オトシンクルスの混泳相性
オトシンクルスは、どんな魚との混泳が可能なのか、または向き不向きなどあるのか、見ていきましょう。
同種・近縁種との混泳

同種・近縁種との混泳は、 口に入るサイズ以外は基本的に心配ありません。この場合は、餌を食べる時などに小競り合いはありますが、相手を死なせてしまうことはほぼありません。
例え、大きなプレコと混泳させた場合などでも、その大きなプレコの体の上にオトシンクルスがとまって休む様子を見かけることがあるくらいで、意外と問題は起きにくいです。個体同士が意識するのは、サイズが同じだったり近い場合と言えます。
少し追いかけたり、おしくら饅頭をするみたいに戯れ合う程度であれば、問題視しなくても良いでしょう。むしろ、このような様子を見れるのも楽しみの1つだと思います。同じ小型ナマズ類のコリドラスが相手の場合もとても平和で、おすすめです。
他魚種との混泳

他魚種との混泳も、口に入るサイズ関係にあるものは絶対にやめておきましょう。ギリギリで口に入るかどうかという微妙な相手もダメです。
口に入らないまでも、オトシンクルスをあとから水槽に入れた場合、特に先住魚の興味を引きやすいので、オトシンクルスが新たな環境を把握する前に先住魚から攻撃を受けた時、危険察知できず、例えばエンゼルフィッシュやディスカスの成魚からの一撃で死んでしまうこともあります。
反対に、ディスカスなど平らな魚種との混泳では、ディスカスの体表を舐めることもあるので、この組み合わせはおすすめしません。オトシンクルスのようなナマズの仲間は、危険を察知すると胸ビレを張って抵抗しますが、これが原因でオトシンクルスを食べようとした魚の口内などに引っかかって、両者共倒れになるケースもあります。
エビ・貝類との混泳

エビや貝類との混泳は何も心配ありません。しいて言うなら、貝の殻をオトシンクルスが舐める可能性があるかもしれないという事くらいですが、心配する必要はないでしょう。
不安点を挙げるとすれば、エビや貝を繁殖させたい場合です。この場合、稚エビがオトシンクルスに食べられる可能性はゼロではありませんし、貝の卵がオトシンクルスに食べられる可能性もゼロではありません。
卵じゃなく稚貝で産まれてくる種の貝であれば、この心配は少なくなると思います。稚エビが食べられるかもしれない心配に関しては、もっと大きな魚との混泳に比べたら、全然心配する必要はないです。
水槽が小さいほど稚エビが食べられる可能性が上がりますが、水槽の大きさとオトシンクルスの飼育密度次第で左右されます。
/コケをもふもふ、オトシンクルスに癒される!

導入時に注意が必要ですが、オトシンクルスはとっても愛らしくてアクアリストを癒してくれる存在です。体はとても小さいですが、コケもしっかりと食べてくれますから小型水槽では重宝します。
様々な種類のオトシンクルスがいますので、ぜひ自分の好みにあったオトシンクルスの飼育にチャレンジしてみてください。オトシンクルスがもふもふしている姿を見ていると時間を忘れてしまいますよ。