
グッピーの繁殖・出産方法!オスメスの見分け方や必要器具は?
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グッピーはいきなり子を産む卵胎生メダカ

出典:写真AC
グッピーの産卵形式は卵胎生と呼ばれ、卵をお腹の外に産み付けるのではなく、お腹の中で卵を育て孵化させてから子を生み落とすという少し変わった産卵を行います。
卵胎生の魚は様々な種類がいますが、グッピーやプラティなどのメダカの仲間に多いことから一般的にこれらを 卵胎生メダカと呼んでいます。
卵胎生魚は子供がある程度大きな状態で生まれるため、他種からの捕食リスク回避など生き残る上で有利になるような戦略の一つと言われています。
グッピーは一度に何匹子を産むの?

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グッピーは一生のうちに数回の産卵を行います。成熟間もない頃の初期の産卵では、 一度に 10〜20匹程度の仔を産みますが、2回目、3回目となると 多い時には 30〜40匹近く、最大では100匹近くの仔を産む事もあります。
奇形や虚弱な子も生まれますので、実際は成魚になる数はもう少し少ないですが、小さな体でもグッピーの産む仔の数は想像以上に多く、あっと言う間に大家族ができてしまいます。
グッピーのオス・メスの区別方法
成熟したグッピーであれば、オスメスの区別は簡単です。ヒレが大きく見た目が派手なものがオス、パッと見て地味な見た目がメスと比べてみればすぐにわかります。

作成:FISH PARADISE!編集部
グッピーの雌雄判別は、魚類のなかでは簡単に見分けがつく部類に入ります。
グッピーを含む卵胎生魚の特徴として、オスに交尾器官としてゴノポジウムが付いています。このゴノポジウムはオスの尻ビレが変形して交尾器官になっているので、棒状のヒレに見えます。
対して、メスの尻ビレは一般的な魚と同じく、三角の形をしています。メスの方の特徴としては、尻ビレは普通に三角の形をしているほか、妊娠マークなどと言われるお腹寄りの肛門付近が黒く色付く様子が見られます。
ただし、オスのゴノポジウムもメスの妊娠マークも、成長とともに明確になってくるものなので、幼い時ほど特徴は出ていないものです。
お店でグッピーを購入する場合、国産グッピーは、通常ペア販売されています。リボンやスワローなどの品種は、その特徴を表しているオスは交尾不可能なため、同じ兄弟のなかから見た目がノーマルのオスを繁殖用に加え、オス2匹メス1匹のトリオ(3匹)で販売されています。
外産グッピーは、通常は東南アジア産のグッピーを指しますが、こちらであれば、オス・メスをそれぞれ別々の水槽に分けて販売しているケースも多いです。
グッピーの繁殖に必要な道具
グッピーの繁殖にあたり用意しておくべき道具をご紹介します。
繁殖水槽
最低でも30㎝水槽からにしておきましょう。できれば45㎝規格水槽からが使い勝手が良くておすすめですが、30㎝キューブ水槽も意外と水量が入るのでおすすめです。
本格的なグッピーの繁殖、を目的としないのであれば水槽を複数持たなくてもいいので、それなら60㎝水槽や90㎝水槽1個で、伸び伸びとグッピーの繁殖を楽しむのもありです。水槽が大きくなるメリットとしては、水質維持がし易くなるほか、稚魚や親魚を移動させなくても、同じ水槽内で自然繁殖がしやすくなるというものもあります。
フィルター・ポンプ
フィルターは、外掛け式・上部式・外部式と、何でも使えます。ただし、これらのフィルターの吸水口には、目の細かいスポンジを取り付けましょう。理由としては、水槽内で稚魚が生まれた時、稚魚がフィルターに吸い込まれて死んでしまうのを防ぐためです。
目の粗いスポンジでは、スポンジに稚魚が吸われて引っかかって死んでしまうのでダメです。生きたブラインシュリンプを餌に使う場合、一番適したフィルターはスポンジフィルターや底面式フィルターです。
これなら稚魚の吸い込みは皆無ですし、フィルターに生きたブラインシュリンプが吸い込まれて無駄になることもありません。
産卵箱
親の隔離と子供が食べられないようにするために産卵箱が必要です。水槽の内側や外側に引っ掛けて使うタイプなど様々な種類があります。
外側にかけるものは管理がしやすいですが、水温が変動しやすくなるので注意も必要です。
スポイト
稚魚を移し替えたり、細かな餌の食べ残しを掃除する際など、何かと役に立ちます。
目の細かいネット
スポイト同様に、魚の移動の際などにあると便利です。稚魚や親魚などはデリケートなので、できるだけ目の細かいネットや水ごと救えるネットを用意しましょう。
水草
稚魚や親魚を移動しないで同じ水槽内で自然繁殖をさせる場合は、稚魚の隠れ家が必要です。稚魚の隠れ家としては、大雑把な土管などのアクセサリーよりも、できるだけ入り組んだ水草のような細かなものが稚魚の隠れ家には適しています。
ウォーターウィステリア、ウォータースプライト、アメリカンスプライト、ベトナムスプライトなどが昔から定番の水草として選ばます。もちろん、その他の水草でも構いません。
粗塩
稚魚や親魚が不調になることもありますが、その際、粗塩で0.5%濃度の塩水浴を行って治療します。食塩でも可能ですが、粗塩の方はミネラルが削がれていないぶん、グッピーへのミネラル補給も兼ねることができて良いです。
水草水槽では塩で水草が枯れるので、水草あるいはグッピーを移動させる必要がある点には注意しましょう。
グッピーの繁殖方法:準備編

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グッピーの繁殖にあたっての準備について説明していきます。
成熟したオスメスの用意
繁殖の要となる成熟したグッピーのペアを用意しましょう。グッピーは生後3~4ヶ月程度で成熟します。ショップでは生後3ヶ月程度で販売されている個体が多いので、おおよその目安にしましょう。
不安であれば、ショップで繁殖したい旨を伝え、確認してみてください。
状態の良いオスメスの用意
成熟度に関しては、あまり気にしなくても大丈夫でですが、状態の良い個体を購入するようにしましょう。このスタートで痩せた個体などを購入してしまうと、そこからの体作りに時間がかかりますし、最悪の場合、死んでしまうことにもなりかねません。
もし購入する個体を選べる場合は、個体の年齢を推測しましょう。大きな個体は見栄えが良く、大きなメスは沢山の子を産みますが、残りの寿命が短いと言えます。大きなメスで稚魚をたくさん産んでもらうか、若い個体で着実に繁殖を重ねるか、考える必要があります。
オスメスの比率
ペア(1対1)が基本ですが、確実にかかる(交配する)ようにするには、オスを多くします。オス2対メス1や、オス3~4対メス2とするのです。これは、子が得られにくいアルビノ種の繁殖のときにも有効です。
また、メスが強過ぎるパターンの時も有効になります。あまりにも強過ぎるメスの場合は、オスを増やす以外にも、水槽を大きくしてみたり、グッピーを別の水槽に移動させてみたりも試してみましょう。
繁殖の兆候
グッピーの場合、オスがメスを追いかけ回す追尾行動が見られます。この時、オスのゴノポジウムをメスに向けて動かしているようであれば、オスは交尾しようとしている兆候です。
また、この時オスが追いかけ回す相手はメスとは限らず、間違えてオスを相手に交尾しようとするものもいますが、それでも繁殖の兆候で間違いありません。
基本的には、性成熟したオスとメスを1つの水槽に1ヶ月も混泳させていれば、メスは妊娠すると考えていいでしょう。そして、妊娠したメスが産仔間近になると、普段と違う様子を見せることもあります。
具体的には、水槽ガラス面を上下にせわしなく泳いだり、水底でジッとしたり、物陰に隠れがちになったりします。この時、それが産仔の兆候なのか、又は体調不良によるものなのかはしっかりと考えてみましょう。
そろそろ産仔のタイミングなのであれば出産と考えていいのですが、それとともに、妊娠・出産は体力を伴うものなので、突然死も通常よりは起こりやすいように感じます。
妊娠期間と産卵周期
グッピーは交尾を行ってからおよそ28日後に子を産むと言われています。グッピーの交尾は非常に短く、なかなかタイミングよく観察はできませんが、オスがメスを追いかけ回している様子が見られれば交尾も行われていると考えて良いでしょう。
また、グッピーは一度産卵を行ってから約30日後に再度、産卵を行えるようになり、一生のうちでおよそ8~9回子を産みます。
産卵箱のセット
繁殖の兆候が見られたら、産卵箱を水槽にセットしておきましょう。基本的にはもともといた水槽と水温や水質は同じになるはずですが、産卵箱の中に汚れた水が滞留しないよう注意しましょう。
グッピーの繁殖方法:実践編

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繁殖までの準備が整ったら、いよいよ親を隔離して子を産んでもらいます。
産卵箱に入れるタイミング
メスを隔離するタイミングは、先ほど説明したメスの変化が顕著になってきたと感じたら早めに行います。ただ、隔離して数日経っても産まないようでしたら、水槽に戻して様子を見ましょう。
あまり狭い環境に長期間メスを入れておくとストレスを抱えてしまいます。
健康維持に注意する
繁殖を成功させるには親のグッピーが健康でなければなりません。水の汚れや水温の変化などに最新の注意を払い、繁殖中は体調を崩さないようにしてあげる努力が必要です。
水槽内で子が産まれてしまった場合は
繁殖を計画的に行っていても、親魚を産卵箱に移す前にメイン水槽内で子を産んでしまう事もあります。
また、グッピーのメスは、 一度の交尾で精子を体内に貯蔵できるため、産卵が終わったと思いオスメスを隔離しても子が生まれてしまうことがあります。
そのような場合でも、焦らずに稚魚を網などですくい産卵箱に移しましょう。産卵を想定して、水槽内もシンプルにしておくとなお良いです。
グッピーの繁殖方法:子育て編

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無事に子が産まれたら、いよいよ子育てに入ります。ちょっとしたコツをつかめば決して難しくないので、しっかりと確認しておきましょう。
子のエサの種類
グッピーの子は比較的大きいサイズで産まれるため餌もそれほど難しくありません。稚魚用の人工飼料をはじめ、ブラインシュリンプなどをうまく組み合わせながら餌を与えると良いでしょう。
初期の頃はブラインシュリンプを与えた方が生存率はぐっと上がります。
餌やりはこまめに行う
グッピーの稚魚の餌やりは、少量をこまめに与えることを心がけてください。餌を与えすぎると水質悪化の原因にもなります。
1日3回は与えてあげた方がいいですが、日中餌やりが難しいようであれば、朝と夕方の2回与えるようにしましょう。
産卵箱の水換えもしっかりと
産卵箱の中は意外と水質が悪くなる事もあります。エアレーションで循環しているように見えても、こまめにスポイトなどでゴミを取りつつ、換水を行ってあげましょう。
親と混泳させるタイミング
稚魚が小さいうちは親が稚魚を食べてしまう事もあるため、混泳は避けましょう。目安としては子の体長が2cmを超えたら、混泳させても問題ないと言われています。
2cmに成長するまでは別々に管理し、大きくなったら元の水槽に戻してあげても問題ありません。
グッピーの繁殖をさせる際の注意点

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グッピーの繁殖における注意点をチェックしておきましょう。
基本的に混泳はさせてはいけない
繁殖を狙うのであれば、基本的には他種との混泳はNGです。他種と混泳させていると、グッピーが落ち着かずストレスを感じるばかりか、もしも稚魚が産まれてしまっても食べられてしまう可能性もあります。
本格的に繁殖を狙うのであれば、混泳はしないようにしましょう。
無計画な繁殖にも注意
グッピーは丈夫な反面、簡単に増えすぎてしまう魚でもあります。繁殖が楽しくなって、グッピーを増やしすぎた結果、自分の手には負えなくなって河川に放流するなどはもってのほかです。自分が終生管理ができる範囲で繁殖を楽しみましょう。
グッピーが繁殖しない!?考えられる原因と対処法

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グッピーは繁殖力が強い魚ですが、グッピーが繁殖しないと悩んでいる人もいるかもしません。しかし、実際は繁殖しているかもしれませんよ。グッピーが繁殖しない場合の原因と対処法についてご紹介します。
稚魚がフィルターに吸い込まれている
フィルターの吸い込み口にスポンジを取り付けていない場合や、取り付けているんだけれど目が粗いスポンジを取り付けている場合は稚魚が吸い込まれます。初歩的なミスなのですが、初心者にはよくある原因の1つです。
スポンジフィルターや底面式フィルターだけで管理すれば、この問題は関係なくなります。
水槽内に設置する水中フィルターなどは吸い込み部分に意外と稚魚が吸い込まれるので、フィルターの構造をよく確認してから選択してください。ちなみに、グッピーブリーダーは、昔からよく大磯砂を使って、底面フィルターを利用しているパターンが多いです。これなら稚魚がフィルターに吸い込まれてしまう心配もなく安心です。
稚魚の隠れ家が無い
親魚がいるメイン水槽でそのまま自然繁殖をさせる場合、稚魚の隠れ家が無い・隠れ家が少ないなどの原因があると、 稚魚が親や他のグッピーなどに食べられてしまいます。メイン水槽で自然繁殖をさせる場合は、なるべく入り組んだ隠れ家になるような水草などを選び、最低でも水槽内の3分の1は水草などの隠れ家で占めるようにしましょう。
水槽内の半分位を隠れ家で占めれば稚魚にとって更に安全ですが、水槽全体をギューギューに水草が占領し過ぎると、グッピーが泳ぐスペースが無くなったり、水槽内の通水が悪くなったりと、逆にデメリットも大きくなります。水草が増え過ぎる前に、適度に水草を間引くことを忘れないでください。
グッピーの繁殖にチャレンジ!
アクアリウムの楽しみ方は様々ですが、繁殖もそのうちの一つです。グッピーは繁殖も比較的容易で、初心者もポイントさえつかめばチャレンジできます。
ぜひ、自分で繁殖させる楽しさや面白さを実感してみてください。もちろん、産まれたグッピーたちは責任をもって大切に育ててあげましょう。