
ビオトープで生活に癒しを!作成時の注意点とおすすめの植物・生体13選
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ビオトープとは

出典:写真AC
「ビオトープ」という言葉を聞いたことはあるけれど、実際どういうものなのか分からない、という方は多いと思います。ビオトープは、ざっくり言うと「ある環境下で自然を再現したもの」となります。
ビオトープの語源はギリシャ語で、 「bios(生物、命)」と 「toops(場所)」という言葉を合わせ、生物が暮らす空間という意味の造語としてビオトープという単語が使用されています。
学校、ビルの屋上、様々な場所で行われているビオトープですが、実はご家庭のお庭やベランダでも再現することができます。今回はそんなビオトープの作り方についてご紹介します。
ビオトープ管理士って知ってる?
ビオトープには、公共事業で行われるような自然環境保護を目的としたもの、家庭のガーデニングのような癒しを与えることを目的としたもの、様々な形が存在します。
もし自然環境保護に興味がある方がいれば、是非「ビオトープ管理士」という資格を取得するのもおすすめです。ビオトープ管理士は公益社団法人「日本生態系協会」が実施している資格で、幅広い視野で環境保全に関する知識や指導能力を持っているかどうかを認定するものです。
ビオトープ管理士は2級であれば誰でも受験することができるため、環境や生物への知識を深めたい方・ビオトープについて深く学びたい方はぜひチェックしてみてください。
ビオトープ管理士については、下記のリンク先記事で詳しくご紹介しています。
/ビオトープ作りに必要な道具
ビオトープに必要な道具はあまり多くありません。自分が考えた大きさ・デザインに合ったものを選びましょう。ここではビオトープを作る上で必要になる道具を解説していきます。
容器
まず、ビオトープの池となるケースを準備しましょう。 睡蓮鉢や プラ舟などがよく使われます。庭に埋め込むことができる人工池なども売ってはいますが、初めての方は比較的小さめのものが価格もリーズナブルで始めやすいでしょう。
底砂
底砂もさまざまな種類がありますが、自然により近いビオトープを作るのであれば荒木田土や赤玉土などを用いると、水草がよく育ちより自然環境に近いビオトープが作れます。赤玉土は少し高価ですが、硬質赤玉土が崩れにくくおすすめです。
一方、見た目の綺麗な状態を重要視するなら、玉砂利などを使用するのも方法の一つです。
生き物・水草
基本的には屋外でビオトープを作ることになるため、日本の四季の変化にも順応できる生体・植物を選ぶと失敗が少なくなります。おすすめの生体・植物については、後半で詳しく解説します。
その他
水道水をそのまま使用すると塩素によって生体にダメージを与えてしまいますので、カルキ抜きは準備しておくと良いでしょう。また、レイアウトに使用する流木や石なども最初に準備しておきましょう。
ビオトープの作り方
ビオトープ作りもいたってシンプルです。この項目では作り方の手順を開設していきます。
①まずは容器を設置しよう
プランターなど、そこに穴が空いているケースには、板を貼るなどして塞ぐようにしてください。水が抜けて干上がってしまいます。
また、屋外で雨が入るような置き場所に設置した場合、雨が降ると容器から水が溢れてしまうこともあるので、オーバーフロー対策(水が溢れないようにする対策)も必要になります。簡単な対策としては、スポンジや布を容器の端にかけておく方法です。
②底砂を入れ、石や流木をレイアウトしよう
土を入れる場合は、ビオトープに入れる水草を考慮して入れましょう。土の量が多すぎると土に含まれている養分が過多となり、コケの発生や水が濁る原因となってしまいます。赤玉土などの多孔質の底床材は水質をクリアに保つ効果があるのでおすすめです。
底砂を入れる際に、石や流木などの水草以外のレイアウトもしてしまい、大まかな構図を決めておきます。
③水を入れて水草を植えよう
水を入れる際は、底砂が舞い上がらないように優しく入れるようにしましょう。半分程度水を張った状態で水草を植え、残り半分の水も入れます。
④生体を入れて、完成!
最後に生体を導入します。生体を入れる際は、袋の水とビオトープの水の水温を合わせるために水合わせを行い、さらに水質を合わせるために水質合わせも行いましょう。生体を導入したら完成です。
/ビオトープに入れたい植物&生体
ビオトープにオススメの植物や生生体を紹介します。お気に入りの植物や魚を見つけて、あなたの理想のビオトープを作っていきましょう。
ビオトープに入れたい植物7選
アナカリス
非常に丈夫な水草で、環境に馴染むと凄いスピードで成長していきます。あっという間に水中がアナカリスだらけになってしまうこともあるので、適度にトリミングしてあげましょう。
マツモ
細い葉がとても繊細で綺麗な水中の植物です。アナカリスよりは繊細ですが、マツモも環境が良いとどんどん成長します。
ホテイアオイ(ホテイ草)
浮き草の代表的な存在で、日当たりが良い環境を好みます。冬場は屋外では越冬できず枯れてしまうので、日当たりの良い室内に入れるか、シーズン毎に買い直す必要があります。
アマゾンフロッグピット
小さな浮き草で子株を出して増えていきます。暖かい環境を好み、春から秋までは屋外でも問題なく成長しますが、冬場はホテイアオイ同様、室内に入れるなどしたほうが良いです。ホテイアオイほど強い光は必要としません。
スイレン
綺麗な花を咲かせることでビオトープに入れる植物としてもとても人気が高いです。種類m豊富なので、ビオトープの規模に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。
カキツバタ
日本風なビオトープを作るには最適な抽水植物です。綺麗な花を咲か背、夏場は半日陰で管理すると元気に育ちます。
ミズトクサ
細く伸びた姿がとても個性的な抽水植物で、ビオトープにもとても相性がいいとされています。背丈が50〜100cmと高く成長するので、存在感もしっかりと出すことができます。
ビオトープに入れたい生体(魚・エビ・貝類)6選
前述しましたが、ビオトープで飼育できる魚は、日本の屋外の気候に耐えられるものがおすすめです。
メダカ
成長しても3〜4cm程度で、小型〜大型のビオトープまで相性もとてもいい魚です。夏の暑さ・冬の寒さへの耐性も強く、丈夫で初心者にもおすすめです。
ドジョウ
そこに落ちた餌などを食べてくれる頼もしい魚で、メダカとの相性もいいため人気があります。飼育も簡単ですが、底が汚れてくると病気などにかかりやすいので少しだけ注意が必要です。
ミナミヌマエビ
小型のエビで、小さな容器でも繁殖することができます。コケを食べてくれるので、ビオトープのお掃除屋さんとしてもおすすめです。
ヤマトヌマエビ
ミナミヌマエビに比べると大型に成長し、コケ掃除の能力はかなり高くアクアリウムでも人気のエビです。ミナミヌマエビと違い、淡水環境では繁殖することはできません。食べ物が少ないと、植物の新芽なども食べてしまうことがあるので注意が必要です。
ヒメタニシ
グリーンウォーターになった水を透明な水に濾過してくれる頼もしい貝です。食べるものがなくなると餓死してしまう点には注意が必要です。
イシマキガイ
コケ取り生体として人気の高いカイの仲間で、淡水環境では繁殖しないので増えすぎない点でもおすすめです。繁殖はしませんが、卵をあちこちに産んでしまうのはデメリットです。
ビオトープでメダカの飼育にチャレンジ!

出典:写真AC
ビオトープと言われて、小川や小さい池を思い浮かべる人は多いと思いますが、そこで泳いでいる魚と言われて真っ先に思いつくのはメダカではないでしょうか。
メダカは日本産の淡水魚で、屋外の環境変化にも強くビオトープとの相性もとても良い魚です。また、最近では改良メダカがブームとなっていて、熱帯魚顔負けのさまざまな色や見た目の改良メダカが販売されています。
自然環境を再現するという上では、改良メダカは少しミスマッチなこともありますが、カラフルな見た目をビオトープでも楽しみたいという方はぜひ、改良メダカをビオトープに導入してみるのもいいかもしれません。
ビオトープを作る上での注意点(コツ)
ビオトープを作る上での注意点をまとめてみました。小さな環境で自然を再現するビオトープならではの失敗しやすいポイントをおさえておきましょう。
適正な生体の数と水草の量を考える
ビオトープ初心者にやりがちな失敗の一つとして、 生体の数を多く入れすぎるというのがあります。魚やエビなどの生体の数が多すぎると、水が汚れるスピードが早く、生体が病気になったり、最悪の場合、死んでしまうことがあります。
自然環境では、目に見えないバクテリアと呼ばれる微生物が魚のフンや食べ残しなどを分解し、その分解したものを植物が栄養にして...というようにエネルギーが上手に回っています。しかし、閉鎖的な環境のビオトープではそのバランスが崩れやすいので注意が必要です。
できるだけビオトープ立ち上げ初期は生体の数は少なめにし、環境が安定してきたら(最初に導入した生体が調子を崩さずに元気な状態をキープできたら)、生体を追加するというやり方をすると失敗はグッと減らすことができます。
また、植物を植えている量が少なすぎるのもよくありません。植物もしっかりと植えて、水質が安定する環境作りを心がけましょう。どうしても生体の数を増やしたい場合は、フィルターなどを併用すると良いです。
環境が悪化してきたら適度なメンテナンスを
生体の数が多かったり、日当たり・風通しの良し悪しで植物が調子を崩したりすると、それに合わせて水質も悪化してきます。
明らかに環境が悪くなってきたら、適度な換水をしてあげたり、日当たりや風通しの良い場所にビオトープを移動したりすることも大事です。
/ビオトープの生き物は責任を持って管理しよう
アリゲーターガーやカミツキガメなど、外来種の生態系破壊が問題になることがありますが、ビオトープでもともと自然界にいない種を育てる場合も自然の生態系に影響を与えないようにする必要があります。
改良メダカや金魚なども 河川や湖沼にむやみに放流してはいけません。飼育者として責任を持って、最後まで飼育してあげましょう。
魚だけではなく、水草なども同様です。増えすぎたからと安易に河川に捨てたりせず、責任を持って飼育するように心がけましょう。
また、飼育者が意図していなくても、生き物が何からの原因で自然界に逃げ出してしまう場合もあります。そんなつもりじゃなかった、では済まされませんので、取り扱いには十分に注意してビオトープを楽しんでください。
家庭でもできるビオトープ、やってみよう!

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今回はビオトープの作り方についてご紹介しました。大きなものではなく、バケツやプランター程度の大きさのケースでも、ビオトープは作ることができます。
あまり難しく考えすぎず、試行錯誤しながらビオトープ作りを楽しんでみてください。ご自宅にビオトープがあるときっと素敵な癒しになること間違いなしです。